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2016年09月27日20:01

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「貸本マンガ史研究」第2期04 特集●水木しげる

読書日記
「貸本マンガ史研究」第2期04 
特集●水木しげる

「総員玉砕せよ!」を反戦漫画の見本として知識人が評価してしまう現象を梶井純が批判している。しかし水木作品は基本的にエンターテイメントの方法で描かれており、芸術ではないのだからある種のパターンとなっているのも仕方がない。そしてたいがいの知識人は漫画に対してパターンでしか読めないから保坂正康などが評価してしまうのも仕方がないと思われる。

旭丘光志が「劇画はジャンルとしては優れているにもかかわらず、まったくおもしろくないのは、教養のない連中が描いているからだ」という水木の言葉を取り上げ、水木しげるの眼から見ると、それらの底の浅さ、美的造形の欠如などがありありと視えてしまう。と書いているが、まさしく現在市場に氾濫する漫画全般について言える的確な言葉だ。今後利用しよう。

幻想ロマンシリーズは読み返したことはないが、面白く読んだ経験があり。三宅秀典の解説が面白かった。まさか婦女子向け恋愛ロマンとして描かれていたとは思わなかった。

川勝徳重のリアリズムに関する論考。白土三平の風景描写について、森林にしても草原にしてもどれも同じような描き方と解説があるが、これは自分もそうで森林一般・草原一般といった装飾的な描写をする。自分の場合は好きでやっている。それにしてもなぜこんなに流麗で平易な文章が書けるのか。内容はもとより文を追う快感がある。
(敬称略)
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