読書日記「自発的隷従論」エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ 著16世紀フランス。モンテーニュの盟友でありながら夭折した政治思想家ボエシ。人間は生まれながらにして自由のはずが、なぜ支配者に進んで隷従するのか。支配・被支配の関係は基本的に支配者が暴力的
読書日記「ピエールとリュース」ロマン・ロラン 作文豪が大長編執筆の合間に息抜きも兼ねて描いた短編?第一次世界大戦戦時下、いよいよ差し迫るドイツ軍の空爆の最中、ふと出会った青年ピエールと貧しい絵描きの少女リュースのわずか2ヵ月間の短い恋愛を描
読書日記「ミシェル・フーコー」重田園江 著以前読んだこの著者の「社会契約論」が面白かったので、これもいつか読んでみようと思っていた。フーコーの入門書であり解説書なのかもしれないが醍醐味は著者自身の語り口である。フーコーの著作のうち「監獄の誕
読書日記「青い野を歩く」クレア・キーガン 作アイルランドの果て。森もなく、断崖と泥炭でできた土地に暮らす話が心地よい。火をおこす、食事を作る、風呂に入る、など生活のもろもろを読むだけでなんとなく楽しいのは、それがけっして大切にされているわけ
読書日記「理不尽な進化」吉川浩満 著進化という言葉は学術の世界とは違って一般世間では向上・発展的変化という肯定的な意味で使われている。これが著者の言う進化のおまじない的用法である。環境にもっとも適応したものがサバイバルゲームの勝者となるのだ
読書日記「遠く、苦痛の谷を歩いている時」高橋たか子 作表題作の他「甦りの家」「病身」人間の意識の底に共有する意識だまりのようなものがあって、ときどきそこへ下りていっては、他人の意識をすくい上げてくる。それは夜見る夢の中で行われる場合が多い。