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2016年10月04日19:41

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「残酷な女たち」

読書日記
「残酷な女たち」
ザッヘル・マゾッホ
 作

かの有名なマゾッホの短編。思いのほか面白い。別に官能小説ではなくちょっと愉快な空想篇といったものだが、出てくるのが往々にして毛皮を身にまとった猛烈に強い女。それを慕う男に若者は登場せず親父や爺さんばかりで、常に私を奴隷にしてくださいと懇願してヒドい目に遭わされるといったパターン。これが可笑しい。

やや長めの「風紀委員会」 主人公女帝マリア・テレージアが国家社会の風紀紊乱を憂うるばかりに自らも夜の街に密偵に乗り出すというありえない設定で、後半問題となった美人のお針子の家へ疑惑の人物たちが偶然にも全員こっそり集まってしまうという展開は、まさに伝統的な喜劇の定番。昔の通俗小説のお手本のようだが下品なところがないので楽しく読める。

と思ったら「醜の美学」では体つきは背むしの小人だが心は明るく人気者の画家を主人公に、教養と精神的な豊かさがいかに人間的魅力を生み出すかを丁寧に描いている。こんなちゃんとした話も書けるじゃないかマゾッホ。
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