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2016年08月03日06:59

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地方の声

 今回の参院選挙で「合区」に対して「地方の声が国会に届かなくなる」という反対意見がありました。だったら解決策として、「地域政党」だけに立候補を認める、というのはどうです? これだったら確実に「地方の声」が国会に届きますが。
 ……だけど、国会って「国」の議会ですよねえ。一議員が国を動かそうとするより地方自治をきちんとした方が、「地方の声の実現」は早いのでは?

【ただいま読書中】『重力波は歌う ──アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち』ジャンナ・レヴィン 著、 田尻恭子・松井信彦 訳、 早川書房、2016年、1600円(税別)
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 最初に登場するライナー・ワイスは「二つの物体の間で光線を往復させたら、重力波によってその往復時間に差が出るのではないか」という思考実験から、光速度測定の時と同様の干渉計を用いての実際の実験を始めてしまいました。そして、キップ・ソーンと出会うことで研究は一段階“上”に進みます。
 本書で面白いのは、第2章でライナー・ワイスと出会ったキップ・ソーンが第3章で扱われ、第3章の末尾で紹介されたロン・ドレーヴァーが第4章で詳しく描かれる、と言った感じで、芋づる式に次々科学者が登場してその研究内容が紹介されることです。こういった巨大な研究には多数の科学者が関与しますが、単に羅列するのではなくて、こうやって有機的な連関を持って描かれると、世界各地での細かいエピソードが一つの「物語」にまとまって非常に読みやすくなります。
 重力は“弱い力”なので(だから人間の筋力程度でも体が動かせますし、ハエは天井に逆さまにとまることができます)、検出が大変です。しかし重力を発生させるのは宇宙規模の現象です。つまり、宇宙という極大の規模と極めて微弱な力という極小とが、重力波の研究には同居しています。なかなか魅力的な組み合わせです。
 さて、「3人の学者(とその周辺の多くの人たち)」が舞台上に揃いましたが、ここからが、長い長い物語です。暗闇の中を探し回るような悪戦苦闘を3人ともすることになります。実験の原理(干渉計の構造)は“簡単”です。本書ではわずか2行にまとめられています。しかし、その「2行」を現実の物にするのが、大変だったのです。まずは出身も個性も違う3人が「協力をする」と決定するだけですったもんだ。プロジェクトの名前を「LIGO(レーザー干渉計重力波観測所)」に決定するために、またすったもんだ。この「トロイカ」を目標めがけて走らせるのは、本当に大変です。
 ブラックホールを見ることはできません(見られないから“ブラック”なホールです)。しかし、ブラックホール同士が衝突をしたら周囲の時空間は歪み、それが重力波の変化として検出できる、それを音に変換したらつまり「聞く」ことは可能になるのです。……この発想、ぶっ飛んでいますが、瞬時に納得です(「音波を聞く」と相似ですから)。ところが「重力波の歌(本書の原題は“BLACK HOLE BLUES”)を聞く前に、私たちは「人間の不協和音」をたっぷり聞かされることになります。科学者同士のいがみ合い(プロジェクトチーム内でのゴタゴタ、LIGOに賛成する科学者の派閥と反対する派閥同士の論争、科学ではなくて政治として扱おうとする議会(民主党員が委員会の委員長だから、という理由だけでLIGOの予算案に反対する共和党議員、なんてものも登場します)……LIGOの建設は遅れに遅れます。そして、やっと完成、運用が始まったばかりの2015年9月14日、まだ誰も“準備”ができていないときに、システムはひっそりと短い信号(音)を記録します。それは宇宙からのメッセージでした。


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