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2015年01月06日07:05

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地球と宇宙

 氷河期とか地球温暖化と聞くと、地球の放熱システムはどうなっているのだろう、と私は思います。地球は太陽に暖められ、その熱を夜の側で捨てているはず。そのバランスさえ取れていればそれほど気候は激変しないはずです。そのバランスが失われたのだったら、それをなんとか復帰させたいものですし、もしこれが地球が許容する範囲内での変動なのでしたら、人類はあまりじたばたしない方が良いのかもしれません。いらないことをして“バランス”を崩したらいけませんから。

【ただいま読書中】『宇宙の渚 ──上空400kmの世界』NHK取材班 編著、 NHK出版、2012年、1500円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4140815388/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=4140815388&link_code=as3&tag=m0kada-22
 そもそも「空」はどこから「宇宙」になるのでしょう? 実は「世界標準」はありません。アメリカ空軍は高度80kmから、国際航空連盟は高度100kmから、と便宜上の取り決めをおこなっています。
 2009年にNHKと民間会社が共同で小型超高感度ハイビジョンカメラを開発し、それを宇宙に持ち出そう、というプロジェクトが始まります。そこで採用されたテーマが「宇宙の渚」でした。宇宙と地球は隔絶された存在ではありません。その境界で様々な“やり取り”があるはずです。ちょうど陸と海の境界である「渚」で様々なものがやり取りされているように。その「宇宙の渚」でどんな現象が起きているのか、これまでの感度の低いカメラでは捉えられなかったものを、この新しいハイビジョンカメラで映像化しよう、というプロジェクトが始まったのです。
 NHKはまず大気球でカメラを空に上げます。JAXAは大気球で53kmという高度記録を持っていますが、ここまで上がれば「宇宙の渚」を観察することができるのです。高度15kmくらいから空はどんどん暗くなり「宇宙の色」になっていきます。20km〜30kmくらいはオゾン層で、それから上は紫外線が容赦なく降り注ぐ世界です。この時は35kmで大気球は割られ、ゴンドラに設置されたカメラはパラシュートで回収されました。
 次は国際宇宙ステーションからの撮影です。“カメラマン”に指名されたのは古川宇宙飛行士。
 その話を進める前に、高度20kmを飛行していたスパイ機U2パイロットが見た不思議な閃光の話が紹介されます。雷雲のてっぺんから宇宙に向かっての稲妻のような閃光です。スプライト(妖精)と名付けられたこの閃光はなかなか正体を明かしませんでした。そこでスペースシャトル「コロンビア号」に高感度カメラを積んで“上”から雷雲を撮影するプロジェクトが実行されます。コロンビア号は地球帰還中に墜落。しかし、残骸から回収されたカメラの中に1コマだけ雷光の真上に光るスプライトが撮されていました。そしてコロンビア号から8年。中断した研究が再開されることになります。
 地上からもスプライトの観測がおこなわれていました。それも日本の高校で。24の高校がネットワークを組んで夜空の観測をおこない、「光」だけをコンピューターで選別してから人間がチェックする、というやり方です。これで高知と静岡の高校が若狭湾上空の同じスプライトをきれいに捉えています。
 古川さんが使うカメラも、次々スプライトを捉えていました。色は赤。強い落雷が起きたときエネルギーは地上だけではなくて宇宙にも向かいます。その電流が窒素原子と反応して赤く発色するのです。スプライトが吹き上がるのは電離層(太陽光線によって大気原子がプラズマ状態になっていて電気が流れやすい領域)です。積乱雲はどんどん発達すると高度10kmあたりで「雲の天井(対流圏と成層圏の境界)」にぶつかりそこで横に広がっていきます。そこにもどんどん電気が貯まりますが地表から遠いのでなかなか放出できません。それが通常の落雷の10倍くらいエネルギーが貯まると強大な落雷が起きそれと同時にスプライトが生じる、と研究者は考えました。地球と宇宙とが電気のやり取りをするという、壮大な電気のドラマです。そこからさらに、宇宙からの電気の流れによって地球の気象が影響を受ける、という学説も紹介されています。
 次はオーロラです。オーロラが高度100kmあたりで輝いていることは、今から100年くらい前にわかりました。国際宇宙ステーションは高度400kmあたりを飛ぶので、オーロラを見下ろすことになります。それによって、地上からはわかりにくいオーロラの全体像がわかるかもしれません。
 太陽から降り注ぐ電子は地球の磁場でブロックされますが、その一部は地球の背後に「プラズマシート」として貯まります。そこからまた電子は地球にアタックをかけますが、それを磁場と大気が防ぎます。その結果がオーロラです。オーロラは見る分には美しいものですが、文明に悪い影響を与えることがあります。オーロラ内部にジェット電流が流れると、地表の送電線に誘導電流を起こし、その結果1989年にカナダで大停電が発生しました。
 最後はペルセウス座流星群です。流星を宇宙から見る、というのはこれまた特別な体験でしょうね。ところで流星はなぜ光るのでしょうか。これは流星が大気中に高速で突入したときその前面で大気を圧縮して高熱となり(圧縮断熱といいます)大気がプラズマとなって発光するからです。面白いのは、宇宙空間にある極小サイズの塵は軽すぎて燃えずにふわふわと大気中を降りてくることです。その総量は年間でなんと3万トン! 1年に1平方メートルに1粒、地球ができてから1平方メートルに40億粒の「宇宙の塵」が落ちてきている、と聞くと、生命の誕生に宇宙の関与が?と思いたくなりますね。
 これからの研究の進歩が楽しみです。とっても楽しみです。


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