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2026年07月30日01:52

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古人骨の歯石から当時の人々の口腔内微生物群の一端を解明

 東邦大学、東京大学、農業・食品産業技術総合研究機構などの研究グループは、古人骨の歯石に残されたDNAを解析し、古代の口腔内マイクロバイオーム(口の中に存在する多様な微生物群)の特徴を明らかにした。

◎縄文人以降の古人骨の歯に残る歯石
 現代人の中高年以上の歯の健康を害する歯石は、実は遺跡から発掘される古人骨にも付いている(写真)。旧石器人は、肉や繊維質の多い植物食を食べていたからあまり目立たないが、澱粉食が主になった縄文人以降の古人骨の歯には、個体差はあるものの歯石が目立つ。
 彼らの歯石には、当時の口腔内微生物をはじめとする様々なDNAが残されていることがある。これを調べることで、過去の口腔内マイクロバイオーム(口の中に存在する多様な微生物群)を復元し、人々の生活環境や健康状態を知る手がかりとなる可能性がある。
 研究グループは、古人骨由来の歯石と現代人の歯石を解析し、口腔内微生物の構成を比較した(図)。

◎お歯黒が口腔内の微生物系統の分布に影響
 その結果、古代と現代では口腔内微生物の構成が異なることが判明した。特に、歯周病との関連が知られる古細菌Methanobrevibacter oralis(以下、M. oralis)が、古代歯石で多く検出された。また、本州・九州地域と沖縄地域の地域差や、縄文時代と江戸時代の時代差も確認され、地域差や時代ごとの生活環境、食習慣の変化などが口腔内微生物の多様性に影響していた可能性が示唆された。
 さらに、古代歯石に由来するM. oralisの系統を解析したところ、鉄利用に関わる代謝関連遺伝子の変異により、遺伝的にクレードAとクレードBの2系統に分類された。
 この2系統と江戸時代に既婚女性に広く行われていた「お歯黒」(絵=お歯黒をする女性)との関連を調べた結果、お歯黒の痕跡が報告されていた女性個体に由来するM. oralisは、いずれもクレードBに含まれることが分かった。お歯黒には鉄を含む成分や植物由来成分が使われていたことから、この文化習慣が口腔内環境を変化させ、微生物系統の分布にも影響を与えた可能性があるという。

◎将来は古代人の食生活や文化習慣などの解明の手がかりにも
 本研究成果は、歯石に残された微生物DNAが、過去の人々の食生活や地域性、文化習慣などを読み解く有用な情報源となり得ることを示した。
 今後、より多くの時代・地域の試料解析や、考古学的情報との統合により、古代の人々の生活史や微生物との関わりをより詳細に復元できることが期待されるだろう。
 研究成果は26年6月8日に学術誌「Scientific Reports」に発表された。

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