古生物学者たちが、「海のティラノサウルス」ことモササウルスの仲間である新種の巨大なティロサウルスを発見した。と言っても、発掘で新たに掘り出したのではない。複数の博物館に所蔵されているモササウルス類の標本数十点を測定し直した結果、新種「ティロサウルス・レックス」の発見となった。
◎略称は獰猛な肉食恐竜と同じTレックス
8000万年前の頂点捕食者と想定される新種「ティロサウルス・レックス」は、モササウルス科の海生爬虫類で、体長は最大13メートル強と、既知のモササウルス類の中では最大級だ(想像図)。彼らはこの新種に「ティロサウルスの王」を意味する「ティロサウルス・レックス(Tylosaurus rex)」という学名を与え、5月21日付けの学術誌「アメリカ自然史博物館紀要」に論文発表した。略称は有名な肉食恐竜ティラノサウルス・レックス(写真)と同じ「Tレックス(T. rex)」だ。
論文筆頭著者のアメリカ、ウィスコンシン州のキャッスル歴史博物館に所属する古生物学者のアメリア・ジートロー博士(写真)は、「Tレックスと呼ばれるにふさわしい海の生きものがいるとすれば、それは間違いなくこの動物だ」と指摘する。特徴の半分は、大きな顎と噛む力に関するだ。ちなみに同博士は、ニューヨークのアメリカ自然史博物館の研究員でもある。
◎モササウルス類の包括的データセットも構築
また、プリンストン大学の進化生物学者ティアゴ・シモンイス博士は、「ティロサウルスは、モササウルス科の海生爬虫類の中で最大級のものとして知られている」と言う。今回の研究はこれをさらに裏付け、ティロサウルスを史上最大のモササウルス類の一群に位置付けたのだ。
ジートロー博士のチームは、新種について記載しただけではない。モササウルス類の解剖学的構造に関する包括的なデータセットも構築した。モササウルス類の標本300点と現生種のトカゲの頭から尾までの測定値を用いて、あまり当てにならなかった従来のデータをゼロから刷新したのだ。
今回の発見は、古生物学者たちがこれらの巨大な海生爬虫類の進化について、それぞれの系統がいつ、どのようにして海の怪物として繁栄するようになったのかをより深く理解する助けとなる。
◎1世紀半前に命名されたT・プロリゲル
今から150年ほど前、「破城槌(城門などを破壊する兵器)」のような顎の先にちなんで最初のティロサウルスが命名された。ティロサウルス・プロリゲル(Tylosaurus proriger)だ(想像図)。
T・プロリゲルの体長は約9メートルで、長い間、北米で知られていたモササウルス類の中では最大の種とされた。吻(ふん)部が非常に特徴的だったため、他のモササウルスとの識別は容易だった。
古生物学者たちはその後、他の種のティロサウルスも記載していったが、カンザス州の8400万年前の地層から発見された標本のほとんどはT・プロリゲルとされた。現在ペロー自然科学博物館に展示されている大型の標本(写真)を含め、ダラス周辺の8000万年前の地層から発見された数体の巨大な標本も、慣例に従いT・プロリゲルとされてきた。
(この項、続く)
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