東京証券取引所は7月28日、投資単位の大きい「値がさ株」の上場企業に、株式分割を再要請したと発表した。投資単位が50万円以上の企業、約270社に分割要請を通知した。
◎3分割してもなお高嶺の花のキオクシア
東証は2022年10月に、投資単位50万円を目安に全上場企に業株式分割を要請している。多くの企業は東証の要請に応じて、中には繰り返して株式分割を行ったが、馬耳東風と聞き流す企業も少なくない。
そんな中、高株価企業の1つのキオクシアが7月31日に動いた。10月1日に効力発生日として1株を3株に分割するという。同社株は、一時、11万円超と超値がさ株となったが、その後、急反落し、31日には反発・ストップ高となって4万6500円で引けた(チャート図)。今後、株価がどう動くか分からないが、仮に現状どおりとすれば3分割しても、100株1単元で155万円と、まだ東証要請よりはるからに高いままだ。
◎キーエンス、ファーストリ、SMCは要請黙殺
しかし上には上がある。例えば東証上場高株価トップのキーエンス(本社=下の写真の上)は、8万1150円もするし、2位のユニクロ(下の写真の下)を運営するファーストリテイリングも7万8190円だ。
ユニクロという大衆的価格で衣服を大量廉売する会社の株を、買いたいと思っても、781万円以上するのだ。個人投資家には手が届かない価格である。
しかも1位キーエンス、そして3位のSMC(7万0480円)も、東証要請をどこ吹く風とばかり、いまだ株式分割をしたことがない。
◎「その他大勢」への埋没は納得できない?
共通するのは、この3社ともオーナー経営・同族企業であることだ。
オーナー経営者にすれば、血のにじむような経営努力で圧倒的好業績を積み上げ、他に追随できないほどの高株価を実現させてきたという誇りがあるだろう。大幅株式分割で株価を低めることはそのプライドが許さないに違いない。
想像だが、経営者は高株価であることはステータスだとたぶん考えているのだ。分割して低株価にして、変な個人投資家に入って来られても困る。
例えばファーストリテイリングは、東証要請に従うなら、株式を20分割くらいにする必要がある。20分割すれば、1単元で40万円くらいの値になり、株価は4000円前後になる。そうなると、高株価で輝くファーストリテイリングは、小売セクターの中に埋没し、目立たなくなりかねない。フツーの会社になって埋もれることに創業者は納得できないだろう。
◎1対25の大幅株式分割のNTTはすっかり輝きを失う
例を引くと、ドラスティックに株式分割を行ったNTT、である。
同社は2023年7月1日付けで1株を25株にするという大幅株式分割が実施した。分割の結果としてその分、株価か下がるから、今では150円近辺に下がっている。1単元買っても1万5000円程度で、東証で最も低株価の一群に入る。150円の株価とは、古くからの個人投資家にはボロ株と見られる水準だ。そのせいか、NTTはマーケットでほとんど注目もされない。経営陣は内心、しまった、とほぞをかんでいるに違いない。
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