この地球には多くの生命が満ちあふれている。種の数は数千万とも言われるが、1億を超えるという説もある。ちなみに国連環境計画の世界自然保全モニタリングセンター、カナダのダルハウジー大学などの研究者らによる、地球上の生物種数は約870万とする研究報告がある。
◎直近2020年には1万7044種と過去最高に
そのすべてが命名・分類されているわけではない。むしろ命名されている方がずっと少なく、約175万〜200万種くらいとされる。
これらの生物種の中には、最近の環境破壊の中で絶滅する種も少なくない。しかし研究が進んで、新種発見も相次ぐ。
日経新聞6月7日付の巻頭記事は、その様子を伝えている。直近のデータのある2020年で1万7044種が発見され、この数字は過去最高という。1753年から2020年までの種の記載数は、着実に増えつつあったが、数百〜数千種で推移していたのが、第1次世界大戦直前の1912年には1万5198種を記録した(上と下の図)。
その後、第1次大戦の影響もあり落ち込み、大戦後にようやく盛り返したものの第2次世界大戦で再び落ち込んだ。第2次大戦後は再び新種数の記載が増え、09年にほぼ1世紀ぶりに1912年の記録を上回った。そして直近の20年の1万7044種に至る。
◎2017年にオランウータンに新種発見
近年の種数増の背景には、遺伝子解析の進歩がある。例えば17年11月には、スマトラの既知のオランウータンの中に、別種のオランウータンがいることが、形態分析と遺伝子解析で明らかになった例がある(17年11月6日付日記:「インドネシア、スマトラの辺境の森林地帯で新種オランウータン見つかる;大型類人猿の発見は88年ぶり」
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201711060000/を参照;写真=新種のタパヌリオランウータン)。
大型動物でも、未知の種が既知の種にまぎれていることを明らかにしたこの報告は、実際、驚きだった。
ちなみに3種のオランウータンの遺伝子解析で、意外にも新種のタパヌリオランウータンは、同じスマトラ島に棲むスマトラオランウータンと遺伝距離は遠かった。
◎祖先からまずスマトラ種が分岐、その後にボルネオ種とタパヌリ新種が分岐
そうした結果から、最初にオランウータンの祖先がアジア大陸から移入してきて、約340万年前にボルネオオランウータン・タパヌリオランウータンの祖先とスマトラオランウータンが分岐し、前者のボルネオオランウータンとタパヌリオランウータンは100万年後の約240万年前に分岐したもののようだ。
後氷期にスマトラ島とボルネオ島が分離されたが、それ以前にアジア大陸から移住してきた祖先オランウータンの生息域に近い密林に元からタパヌリオランウータンが棲み、後に元祖ボルネオからスマトラオランウータンが移動してきて、たまたま両種の生息域が近かったということになったらしい。両種は、交雑することがなく、別種として生きてきたのだ。
◎シーラカンスでも1997年に新種
そうした例は、例えば日経新聞の前記記事にも挙げられているシーラカンスもそうだ。
シーラカンスは1938年12月に南アフリカ沖で初めて再発見された。シーラカンスは6550万年前の小惑星の衝突によって引き起こされた大量絶滅で死に絶えたと考えられていた。それが、人知れず南アフリカ沖で生き残っていたのだ。
しかし太古から蘇ったようなシーラカンスの物語はそれで終わらなかった。1997年にはインド洋を隔てたインドネシアのスラウェシ島近海で、南アフリカ産とは別種のインドネシアシーラカンス(ラティメリア・メナドエンシス:下の写真の上)も発見された。遺伝子解析の結果、新しく発見されたインドネシアシーラカンスは、南アフリカ産(下の写真の下)とは約3500万年前に分岐したらしい。
そのでんからすると、もっと別の深海で別種のシーラカンスがひっそりと生き延びているかもしれない。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202606120000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。
昨年の今日の日記:「毒を持つ珍しい鳥、ピトフーイまたはズグロモリモズ、食物を通じて蓄積される猛毒のバトラコトキシン」
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202506120000/
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