企業家イーロン・マスクの率いるスペースXが6月半ばに、いよいよナスダック市場に上場される(下の写真の上=イーロン・マスク、下の写真の下=スペースX本社)。上場されると、ひょっとすると時価総額2兆ドル(約318兆円)をつけるかもしれないとされる。日本の年間国家予算約122.3兆円の3倍に近い巨額時価総額になる(25年12月19日付日記:「2026年にスペースX、オープンAI、アンソロピックのヘクトコーン3社が上場へ、NY市場は沸騰か」
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202512190000/を参照)。
◎数々のナラティブを実現させてきたスペースX
スペースXは、これまで多くのナラティブを生み、実現させてきた。それまで誰もが考えもしなかった夢想物語である。
まず1段目のロケット、ブースターを回収・再利用したことだ。これまでロケットと言えば使い捨てだったが、この回収を創業わずか6年後の2008年に実現させた。これで打ち上げ費用の大幅なコストダウンが可能になった。
15年には2段目ロケット(上段部分)の回収にも成功した。大気圏再突入時には、2段目は大気との摩擦熱で約1500℃に炙られるが、この超高温にも耐えた。
そして5月22日には、完全再使用の世界最大のロケット「スターシップ」の打ち上げ(写真)、地球帰還にも成功した。
◎スターシップで宇宙に巨大なデータセンター構築か
こうしたナラティブを次々と実現させたスペースXの上場に、マーケットは大きな期待をかける。成功裏に上場した場合、創業者のイーロン・マスクはEVのテスラ株を含めて、世界で初めて、ただ1人の1兆ドルの資産を持つ超々資産家になるという。将来、その資金を使えば、アメリカ大統領選にも立候補できると考えられるが(共和党なら豊富な資金で予備選に勝利し続ける可能性大)、ただアメリカの大統領は憲法でアメリカで出生した者という厳格な国籍要件があり、南アフリカ出身のイーロン・マスクには、その途は無い。
イーロン・マスクが実現を目論む次のナラティブは、スターシップにコンピューターを宇宙に打ち上げさせ、宇宙空間に巨大データセンターを建設することだろう。宇宙では大量に必要な電気は太陽電池で無尽蔵に利用できる。スペースXに合併させた、AI事業を担う「xAI」をフル稼働させられる。つまり日本の一部で起こっている自分の住む土地の近くにデータセンターを造るなというエゴ丸出し住民運動からも無縁でいられる。
◎衛星通信網に加えて高度なAI、そして巨額個人資産で何を目指すか
すでにスペースXは宇宙空間に衛星コンステレーションを打ち上げ、世界最大のどこにも、どこからでもアクセスできる衛星通信網を構築した(26年4月17日付日記:「低軌道通信衛星は満杯間近、『スペースX』100万基の衛星打ち上げ計画」
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202604170000/を参照)。
ここに宇宙データセンターというさらに大きな事業が加わる。
こう考えると、別の懸念も起こる。
巨額な資産と衛星通信網、AIを基に、イーロン・マスクがアメリカ政治に大きな影響力を振るうことになるのではないか、ということだ。幸い、前記のように彼にはアメリカ大統領になる途は閉ざされているが、昨年の第2次トランプ政権発足時に豪腕を振るったDOGE(政府効率化省)のように陰の大統領として振る舞う手段は残っている。
アメリカ資本主義が、とんでもないモンスターを生み出さないか、それが心配だ。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202605290000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。
昨年の今日の日記:「日露戦争を決めた日本海海戦とポーツマス講和(前編):決裂寸前で超強気のニコライ2世が豹変して妥結」
https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202505290000/
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