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2026年05月16日05:58

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イヌの脳はいつからオオカミより小さくなったのか、比較研究で新石器時代にはイヌは50%弱も縮小

 現代のイヌは野生のオオカミが家畜化されて進化したものだが、家畜イヌは野生オオカミより脳が小さい(家畜イヌがいつ誕生したのかは文末の注を参照)(写真=大型家畜イヌのゴールデンレトリバーとタイリクオオカミ)。オオカミは、野生で獲物を仲間たちとコミュニケーションをとって捕獲するため、脳は大きいほうが望ましい。半面、ヒトに飼われて餌を与えられるようになると、エネルギー多消費の脳は大きいことがむしろマイナスになるから、次第に小形化していく。

◎原始犬の脳容量を調べた
 では、イヌの脳がいつ頃から小さくなっていったのか。
 フランス国立科学研究センター(CNRS)のトマ・クッチ博士らは、約3万5000年前〜約5000年前の先史時代のイヌとオオカミ計22個体、現代のイヌ104個体、現代のオオカミ59個体の脳容量を調べた。なお現代のイヌ104個体には自由生活犬やディンゴも含まれる。
 その中でも今回の研究では、ベルギーのゴイエ洞窟で発見された約3万3000年前の原始犬(オオカミとする見方もある)、フランス南部のボーム・トロカード洞窟で発見された約1万5000年前の原始犬、そしてフランス東部の新石器時代後期の湖畔集落であるシャランで見つかった約5000〜4500年前のイヌ(以下、シャラン犬と略)が、オオカミとの脳サイズ比較で重要な対象になった(図=左側にそれぞれの頭蓋、右側に出土地を示す)。

◎旧石器時代のイヌはオオカミと顕著な差が無し
 クッチ博士らはそれぞれのイヌやオオカミの頭蓋のCTスキャン画像を分析した。頭蓋内部の空間を3Dモデルとして復元したものは「エンドキャスト」と呼ばれ、かつてその頭蓋内に納まっていた脳容積を推定できる(写真=黄色で示された部分)。
 クッチ氏博士は、脳の実際の大きさにおおむね対応する頭蓋内容積だけでなく、頭蓋の長さに対する相対的な頭蓋内容積も比較した。これにより、小型犬が体格の小ささだけで「脳が小さい」と判定されないようにした。
 分析の結果、ゴイエ洞窟の原始犬やボーム・トロカード洞窟の旧石器時代の原始犬では、同時代のオオカミより脳が小さくなっている証拠は見つからなかった。これらの原始犬は人間の近くで暮らしていたとみられるものの、脳サイズはオオカミと同程度に留まっていた。イヌがオオカミから分かれて人間と関わるようになってもすぐに脳が小さくなったとは言えないことが示された。

◎新石器時代のシャラン犬は同時代のオオカミより脳が大幅に縮小
 一方で、大きな変化が見つかったのがシャラン犬だ。クッチ博士らは、約5000〜4500年前のシャラン犬は、同時代のオオカミと比べて脳サイズが46%も小さくなっていた」と報告した。
 脳サイズの縮小は、脳組織の構成変化と関連していた可能性がある。クッチ博士らは、複雑な処理に関わる大脳皮質の割合が相対的に小さくなり、反応的・本能的な応答が相対的に重視されるようになった可能性があると考えている。こうした変化があった場合、イヌは不安や警戒心が強くなり、未知の刺激に敏感になったりよく吠えたりする傾向を持つため、集落に異変を知らせる「警報装置」のような役割に向いていた可能性がある。そうした個体が、長い家畜化の過程で選択されたのだ。

◎脳が小さくなったからといってバカになったわけではない
 このように新石器時代にイヌの脳サイズが縮小したことは、残飯を漁る存在、肉の供給源、狩猟に使われる存在といった役割に加え、「集落に脅威を知らせる」という役割を担っていた可能性について重要な手がかりを与えている。
 ただし、この研究は「脳が小さくなったためイヌの知能が下がった」と示すものではない。今回調べられたのは頭蓋内部の空間から推定した脳サイズであり、脳のどの部分がどう変化したのかや、行動や認知能力がどのように変わったのかを直接示しているわけではないからだ。

補遺:核DNAで確認された最古のイヌの日記
・26年4月4日付日記:「最古の人間の友のイヌは1万4300年前:核DNAから得られたルーツはスイスの湖畔とイギリスのゴフ洞窟産(下)」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202604040000/
・26年4月3日付日記:「最古の人間の友のイヌは1万4300年前:核DNAから得られたルーツはスイスの湖畔とイギリスのゴフ洞窟産(上)」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202604030000/ ゴイエ洞窟

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202605160000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「トランプのアメリカと習近平のスターリニスト中国とのチキンレース、アメリカ側が腰砕けで事実上の白旗」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202505160000/

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