近くの公園の一角の緑地で、何年ぶりかでセイヨウヒキヨモギ(ゴマノハグサ科)が大群落を形成している(写真)。花穂に無数の黄色い小花を咲かせる。ここで以前も群落はあったが、これほどの大群落はあまり記憶が無い。
◎日本上陸たった半世紀で関東以西に広がる
8年前の2016年7月、南樺太の栄浜の原野で咲き誇っていた多くのワイルドフラワーの中のオクエゾガラガラの群落を思い出した(写真)。色といい形態といい、オクエゾガラガラはセイヨウヒキヨモギとよく似ていた。
セイヨウヒキヨモギは、ヨーロッパ西部原産のゴマノハグサ科の1年草だ。日本では1973年に千葉県で初めて確認された。現在は関東地方以西から九州にかけて、日本中の道端や堤防、河川敷などに広く自生している。確認されてたった半世紀で、もう関東以西に広がったのだ。自生している場所から考え、人が意図的に種子をまかずとも、車のタイヤに付いて全国に散布されることになったのだろう。
◎自分でも光合成をするが半寄生
なお和名の一部に「ヨモギ」となっているが、一般のヨモギと違って食用にはならない。そもそもヨモギはキク科だから、大きく分類群が異なる。
変わっているのは、セイヨウヒキヨモギは、自ら光合成をしながら他の植物に寄生して栄養を得る半寄生植物であることだ。半寄生性の植物といえばヤドリギが有名だが、ヤドリギは樹木の幹に取り付くため非常によく目立つものの、セイヨウヒキヨモギは宿主の根に寄生するため、地上部を見ている限り寄生植物には見えず、一緒に生えているどの植物に寄生しているのかもよく分からない。
葉や茎は緑色をしているから、自分自身でも光合成をする。そのため一見したところ、ごく普通の植物に見える。いわばステルス寄生植物だ。
◎コメツブツメクサに寄生か
何に寄生しているのだろうと大群落をよく観察すると、その群落の端には無数のコメツブツメクサの群落があった。マメ科の根に吸気と呼ばれる器官を形成して取り付くというから、コメツブツメクサに半寄生しているのだろう。半寄生されたコメツブツメクサは、栄養を取られるうえ、背の高いセイヨウヒキヨモギに日光も奪われるから衰弱していくしかない(写真=セイヨウヒキヨモギの向こうの木のそばに目立たないがコメツブツメクサ群落がわずかに見える)。
一見すると小さなきれいな黄色い花をいっぱい付けるので好ましく思えるが、その生態を知ると興ざめする。
ただしばらくの間は、この場所で大群落を目にすることになるのだろう。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
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