mixiユーザー(id:64140848)

2018年10月10日06:20

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日本に哲学者はいないというけれど‥‥

「日本に哲学研究者はたくさんいるけれど哲学者はいない。」というようなことがよく言われる。まあそうかもしれないけれど、だからといってそれほど都合がわるい訳でもないと個人的には思う。第一、カントやウィトゲンシュタインのように自分でどんどん道を切り開いていく、というような天才がそうちょいちょいと出現するものではない。
すぐれた哲学者に関する研究者がたくさんいて、我々に解説してくれる状況というのは、少なくとも私のようなアマチュア哲学者にはすごく有難い。

私の学生時代には、哲学書のすぐれた翻訳や一般向け解説書というものはほとんどなかった。今は、翻訳書もすごくこなれた日本語で書かれているし、解説書もすごく分かりやすい。日本に、すぐれた哲学研究者が増えたおかげだと思う。決して素人が「哲学研究者」を揶揄するようなことを言うべきではないと私は思う。中島義道のカント、野矢茂樹のウィトゲンシュタインの解説には尋常でないひらめきに満ちている。彼らの研究の成果のおかげで、私達は最高の知性の一部に触れることができる、自分の哲学的レベルはそれほど高くなくとも、いともたやすく「気づき」を得ることができる。それは意義のあることではなかろうか。すごく楽しい時代に生きていることを実感する。

ただ一つ残念なことは、こんな環境に恵まれた時代に生きているのに、自分の頭がどんどん悪くなってきていることである。最近は頁をまくる毎に前のページのことを忘れてしまって、読書がなかなか前へ進まない。図書館で借りた本が期限内に読了することができなくなってしまった。宝の山にいながらそれを享受できないということはいかにも残念だ。



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