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2018年03月26日06:51

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読んで字の如し〈人偏−3〉「倍」

「倍」……二をかける
「等倍」……一をかける
「倍増」……二をかける
「一倍」……一をかける
「人一倍」……人の二倍
「倍率」……一倍二倍三倍……
「倍々ゲーム」……すぐに指が足りなくなる
「倍返し」……利息制限法違反
「四倍体」……身長が4倍なら体重は64倍
「一粒万倍」……大豊作だがおそらく豊作貧乏
「薬九層倍」……「坊主丸儲け」がそのあとに控えている
「安倍」……安心安全が倍
「所得倍増計画」……物価については言わないのが素敵

【ただいま読書中】『「進撃の巨人」と解剖学 ──その筋肉はいかに描かれたのか』布施英利 著、 講談社ブルーバックスB1892、2014年、900円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4062578921/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4062578921&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=cd5d0ae257c4776473164b54c8074149
 『進撃の巨人』には様々な「巨人」が登場しますが、それを著者は「人間型の巨人」「奇行種」「通常種」などと分類します。そしてそれぞれの「骨格」や「筋肉の付き方」などを「美術解剖学」の立場から論じています。
 医学に解剖学はつきものですが、美術の世界でも解剖学は重要です。そういえばレオナルド・ダ・ヴィンチも動物や人体の解剖をおこない、それをもとにして絵画や彫刻を製作していましたっけ。
 日本では、ベルリン帰りの森鴎外が、東京美術学校校長の岡倉天心に頼まれて、明治24年に「美術解剖学」の講義を担当しました。美術解剖学の歴史は古いようです。著者もいくつかの大学で美術解剖学の講義をしているそうですが、そのはじめは「脊柱」だそうです。これは「体の軸」で、ここを理解したら「骨格」が理解でき、他の関節や筋肉の付き方も理解できるようになるそうです。そういえば漫画などで、絶対に曲がらない方向に関節が曲がっている絵を見せられることがありますが、そういった漫画の作者は骨格を理解していない、ということなのでしょうね。
 筋肉がどことどこについているかで、関節の動きが決まります。また、筋肉の塊によって体の表面の凸凹が形作られます。また、骨と皮膚を結びつけている筋肉もあります。表情筋です。
 さて、『進撃の巨人』では「筋肉がむき出しの巨人」が多数登場します。ここの著者は大喜びで“突撃"していきます。「巨人」の筋肉は人間のものとよく似ていますが、作者の想像力によってあちこちが変えられています。そこを一々指摘して(「ユミルの巨人の前鋸筋は実際の人体より下に位置している」など)その筋肉の位置と機能を解説、さらに巨人の特性についても想像をする、というなかなか「一粒で何度も美味しい」本となっています。「巨人の腹筋が割れている」と喜ぶ読者がどのくらいいるのかはわかりませんが、著者は喜んでいます。そして美術解剖学の立場から、「かたちの必然性」と「マンガ家の想像力」の混合を読み解こうとしています。非常に真面目に面白がっています。
 漫画で「骨や筋肉」を描いたものはあまりありません。ところが『進撃の巨人』では、骨と筋肉が満ちあふれています。これは解剖に詳しい人にとっては大喜びの題材なのでしょう。
 私は『進撃の巨人』はまだ2巻までしか読んでいませんが、先を読むのが楽しみになってきました。本書によると、筋肉の質感などの描写は、連載を重ねるにつれてどんどん上手になっているのだそうですから。“そういった方面"を楽しむ、というのは“邪道"かもしれませんけれどね。


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