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2015年01月15日06:32

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お手軽生パスタ

 乾燥スパゲッティーを密閉食品袋に水と一緒に閉じ込めて1時間置いておくと「生麺」に戻るのでそれを1分間くらい少量のお湯でさっと茹でたら“省エネ”でスパゲッティーを食べることができる、という知識を初めて知ったのは、NHKの「ためしてガッテン」だったと私は記憶しています。ということは、マカロニや素麺やうどんや蕎麦の乾麺も同じ手法で食べることができるはず。気になるのは、太い麺だと芯まで火が通るのか、ということですが、本当に知りたかったら自分で実験すれば良いんですよね。

【ただいま読書中】『男のパスタ道』土屋敦 著、 日経プレミアシリーズ、2014年、850円(税別)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/453226247X/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=767&creative=3999&creativeASIN=453226247X&link_code=as3&tag=m0kada-22
 本一冊まるまる使って「ペペロンチーノ」(茹でたパスタをニンニクと唐辛子のオイルソースでからめたもの)の“レシピ”となっています。「最高のペペロンチーノ」を求めるために、「料理」だけではなくて科学的追究も行われますが、あくまで「キッチンレベル」ですから、やろうと思えば読者は再現実験も可能です。やりたいかどうかは、別の話になりますが。
 まずは「パスタ」そのものから。イタリアのパスタ法では、玉子を使わない乾燥麺は「デュラム・セモリナと水だけ」で作られると規定されています。デュラムは「硬い」、セモリナは「粗挽き(デュラム麦はガラス質で硬いため、昔の製粉技術では粗挽きにしかできない)」という意味です。
 著者は「パスタの分解」を行います。生地を水の中で揉んで……って、生麩の製造ですね。ともかく、グルテンとデンプンを分け、それぞれを茹でてみます。パスタのコシを担当しているのはどちらかの追究です。次は「塩」。パスタを茹でるときには塩を入れることが当然とされていますが、これは本当に「当然」なのか? 著者は、茹で湯の塩分濃度を変え、真水でも試し、さらに塩の沸点上昇効果を考慮して茹でる温度も微妙に調節して比較試験を行います。さらに圧力鍋まで持ち出してきます。それもすべて「麺」「グルテン」「デンプン」でそれぞれ試します。いや、その手続きの厳正さとそれによって得られた結果の面白さは、ぜひ本書をお読みください。パスタの「コシ」とはいかなるものか、著者なりの定義が明確に行われています。
 “間奏曲”として、食べ方の実験もあります。昔のイタリアではスパゲッティーは手づかみで食べるものでした。だから著者はそれも試しています。
 ともあれ理想の茹で方がやっと決まりました。本はすでに2/3が経過しています。そして、こんどは油とニンニクと唐辛子についての検討です。オリーブオイルはどれを選ぶべきか、というかオリーブオイルでないといけないのか? ニンニクはスライスか潰すか。
 ここで著者はさらに一つ「常識」を覆してくれます。「油でニンニクを炒めて香りを油に移す」とよく言いますが、これは間違いなのです。それを著者は官能試験で確認しています。むしろ生のニンニクを油に漬け込んだほうが味はよく移るのです。いやいや、本書で私はいくつ「常識」をひっくり返されたら良いのでしょう。それにしても、様々に加熱したり調理した「油」を「単体」で実際に味わってみる、そして、油を飲み過ぎて気分が悪くなる、というのは、いくら体を張った試験だとはいえ、ちょっとやり過ぎの感もあります。
 ともあれ、最後に紹介される「勝負ペペロンチーノ」は、本当に美味しそうです。ただ、それを丼で食べろ、と勧められると、また一瞬ためらってしまうのですが。


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