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2021年02月27日06:54

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風林火山伝 第18話 義元の願い

今川義元の亡霊は、白い炎の玉を伴いゆるりゆるりと武田信玄の近くまで近づき、刺し違えようとしたかと思うと、信玄のそばで動きを止め、信玄に向い「世は、京の都の上洛を夢見ていた。お主が織田信長と密約を結んでいたという事実は世がこの世を去った後、知った。また、お主が我が国 駿河を侵攻したことはさらに許しがたきことであった。それで、三方ヶ原の戦いの後、世はお主に呪いをかけ、重い病にかからせ、呪い殺そうとしたのだ。」

さらに義元の亡霊は話を続けた「しかし、実際、世の呪いによりお主が重い病で倒れた時、京の都の上洛なかばで、病のためにお主が京の都の上洛の夢を断念したお主の無念な気持ちが世の無念さと実によく似ていたことを強く感じたのだ。お主が京の都の上洛の夢を断念することは、また、世が繰り返し、京の都上洛なかばで上洛を断念することのように思えてならず、お主の重い病の呪いを解き、世の京の上洛の夢をお主に託したのだ。実際に信長が世を討ちとった事実は変わらない。今となっては昔、三国同盟を結んでいたお主が、世の夢である京の都への上洛を変わって叶えることを願うしかない。世の仇 信長をお主が討ち取り、京の都に上洛を果たすのであれば、お主への恨みは消えるであろう。お主を陰から見守らせてもらう。」といってどこかに姿を消していったのであった。

義元の亡霊の言葉を聞いた信玄は義元の京の都の上洛手前でこの桶狭間で信長に討ち取られた無念な気持ちが自分の胸に深くしみわたるともに、どこからか不思議な力が湧いてきたのだった。おそらく信玄が、京の都に上洛した時、義元の亡霊は成仏されるのだろうと思った。


                                   つづく


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