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2018年06月10日06:37

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自動車の幅

 駐車スペースを探して街中をうろうろしているとき、「自動車って幅を取るなあ」と思うことがあります。「幅」というか「面積」ですが。長さ4メートル・幅1.5メートルの小さい車でも、安全に乗り降りや発進ができるためには前後左右に余裕が必要ですから6×3メートルくらいのスペースが欲しくなります。これは18平方メートル=5.45坪=約11畳。計算上は六畳間二つ分くらいの駐車スペースが必要です。しかも、最低限、普段置くところ(自宅?)と行き先の両方の2箇所に。さらに、共有スペースとは言え、道路も必要です。
 自動車って、幅を取る、というか、空間をずいぶん占有しているんですねえ。

【ただいま読書中】『生死を分けるトイレの話 ──災害時のトイレ問題とその解決策』上幸雄 編著、 環境新聞社、2012年、2200円(税別)
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 大災害直後、人は2〜3日食事を我慢できます。しかし排泄は我慢できません(阪神淡路大震災後のアンケートでは半数の人は被災2時間後には排泄をしたくなっています)。ところが「トイレ問題」は大きな声では語られません。知らない人は気がつかない、そして当事者は恥ずかしくて言い出しにくい。
 不潔などの理由で使いにくいトイレ、あるいは絶対的なトイレの不足は、生活環境の悪化と衛生面の問題を引き起こし、さらに、トイレを我慢するために水分摂取を控える人は脱水となってエコノミークラス症候群(静脈血栓症)を引き起こします。それは震災関連死につながる、つまりトイレが生死を分けることがあるのです。
 著者は阪神淡路大震災で、仮設トイレが設置されているのにその多くが使用禁止になっている光景を見ました。理由は満杯の便槽。汲み取り業者も被災しています。バキュームカーがフルに走れる状況ではありません。そして、もしも汲み取れたとしても、こんどはそれを処理する場所が被災していて、結局仮設トイレがフルに使用可能にはならないでしょう。
 新潟中越地震では、余震を恐れて多くの人が自家用車の中で過ごしました。これは阪神淡路大震災では見られなかった現象です。エコノミークラス症候群の発生を恐れて、たとえば県知事は早くからその予防を呼びかけていましたが、結局この震災で死者の半数はエコノミークラス症候群によるものでした。その主な原因は「トイレ」。仮設トイレの中は汚く、しかも多くの人(特に水洗の洋式に慣れた若い人には)不慣れな和式の汲み取り。では年長者は大丈夫かと言えば、段差があって高齢者には使いにくい。廊下などバリアフリーの環境に簡易トイレを置くと、仕切りはせいぜいカーテンですから、音や臭いは遮断できずやはり使いにくい。
 人は「口」から「肛門」までの「一本の管」と言えます。するとその流れが止まると命にかかわる。トイレもまた、「便器」から「屎尿処理施設」までがきちんとつながっていないと機能しないし、「人の便器へのアクセス」もまた重要です。そうそう、上水道も必要ですね。水洗のためにも手洗いのためにも水は必要ですから。
 災害時に水を配給する車が出動していますが、「そこまできれいではない水」を配達するのは非現実的な提案でしょうか。そのままでは安全ではなくても煮沸したら飲めるレベルの水で、トイレ流しや掃除やとりあえずの手洗いなどに使えるものです。
 水洗トイレが使える状況で水もあったら、めでたしめでたし、ではありません。下水管も地震の被害を受けています。下水処理場が機能していないとそこに汚物を流し込まれても困ります。それを確認せずに皆がトイレを使ったら……
 地震に意外に強いのが汲み取りトイレでした。もちろん満杯になったらバキュームカーを待たなければなりませんが、少なくともそれまでは使用可能です。そして、バキュームカーも震災時には有用です。阪神淡路大震災のとき、神戸市内にバキュームカーは5台しかなかったそうで、他県から応援が続々と駆けつけて大活躍だったそうです。
 「理想的な災害用トイレ」に「一つだけの正解」はありません。むしろ「自分たちにとって、どんなものが理想的な災害用トイレだろうか」としっかり考え準備することが、防災(減災)になるはずですし、それが結局自分たちの命を救うかもしれません。


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