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2018年03月24日07:13

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適材適所

 「書き換えを指示する者」にふさわしいのは「国税庁長官」。

【ただいま読書中】『山月記』中島敦 著、 小前亮 訳、 理論社、2014年、1400円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4652200641/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4652200641&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=2497be67588d58e9dc07da293683f208
 目次:「山月記」「名人伝」「李陵」
 「山月記」は非常に有名な作品で、高校の国語の教科書にも載っているそうです。私は教科書ではお目にかかった覚えがありませんので、まっさらな気持ちで読むことができました。
 詩人として成功することを夢見て、せっかく科挙に合格して任官した仕事を投げ捨ててしまった李徴は、詩人としても成功できずまた地方役人として復職しますが、かつての同僚たちはすでに出世して上司となっており、ますますストレスをため込んだ李徴はとうとう「虎」になってしまいました。李徴のかつての友人袁惨はたまたま「虎(=李徴)」と出会い、その苦しみの告白を聞くことになります。
 李徴は天才詩人です。しかし「自己評価」と「他人からの評価」にはギャップがあります。「孤高の天才」と自認して「他人の存在」が煩わしいだけ、の李徴ですから、いくら素晴らしい言葉を並べた詩を作ってもそれが(自分が無視している)「他人」の心に届くことはなかったのでしょう。さらに「自分がしたいこと」「自分ができること」「自分がするべきこと」を常に(おそらく意図的に)一致させていないことが、李徴が「虎」になってしまった原因だ、と私には思えます。本人は「こんな醜い姿になってしまった」と嘆いていますが、「自分がしたいこと」「自分ができること」「自分がするべきこと」が常に一致している「虎」は「美しい」のではないでしょうか。残念ながら本人にはその「自己評価」はできないのですが。


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