mixiユーザー(id:235184)

2017年10月27日07:21

105 view

 「役人」には役に立つ人と役に立たない人がいます。
 「役者」にも役にはまる人とはまらない人がいます。
 ところで、「役行者」は?

【ただいま読書中】『泳ぐイノシシの時代 ──なぜ、イノシシは周辺の島に渡るのか?』高橋春成 著、 サンライズ出版、2017年、1800円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4883256103/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4883256103&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=0384d9b97f400896b86bc036d96b1985
 イノシシは「山の動物」というイメージですが、最近、島へ泳いで渡って生息域を広げる例が多く目撃されているそうです。本書に西日本の地図が載っていますが、琵琶湖の二つの島を含めて110の島で目撃報告があるそうです。そういった島で上陸の目撃や農作物の被害が報告されるようになったのは、大体1980年代ころから。最近では「泳いでいるイノシシ」の目撃例はそれほど珍しいものではなくなったそうです。
 もちろんイノシシは「泳げる動物」ではありますが、わざわざ湖や海を渡るには「理由」があるはずです。直接インタビューはできませんから「証言」は得られませんが、一体彼らがこんなに「泳ぐ」ようになった「理由」は何なのでしょう?
 琵琶湖では1kmくらい泳げば島に渡れますが、豊後水道は20kmくらいあります。それでも泳ぐんですね。イノシシが喜ぶのは、耕作放棄地です。宇和島西方にある日振島では、かつて半農半漁の暮らしで、段畑の作物や海岸に干す煮干しを大発生したドブネズミが荒らして大問題になっていました。ところが働き手が島外に流出して畑が荒れ煮干しを干すこともなくなるとドブネズミの生息環境が失われましたが、そのかわりのように海を渡ってきたイノシシが跋扈するようになりました。著者はイノシシのDNA分析を行って、どこからやって来たかも特定しようとしています。
 飼育されていたイノシシやイノブタが逃げ出した、という例もあります。イノブタも野生化が進むとイノシシとそれほど変わらない姿になるそうです。
 ニホンイノシシだけではなくて、リュウキュウイノシシも泳いでいます。それどころか、世界中でイノシシは泳いでいるそうです。イノシシはユーラシア大陸とその周辺の島嶼部に広く分布していて、あちこちで泳ぐ姿の目撃報告があります。アメリカや南アフリカには狩猟目的でイノシシが移入されていますが、それが野生化して、さらにすでに野生化していたブタと交雑して広まりました。そして、彼らも元気に泳いでいます。
 日本でイノシシが泳ぐ理由はいくつか推定されています。明治からイノシシの生息地は日本では拡大していますが、暖冬化がそれを後押ししているのではないか、と言われています。また、過疎化と耕作地の変化。山の奥に押し込まれていたイノシシが海岸や湖岸にまで進出し、そのまま島に渡って生息地を拡大しているのではないか、と見られています。狩猟者の減少や高齢化もイノシシの生息地拡大に手を貸しています。イノシシ猟では、イノシシは山の下の方に駆け下りて逃げるそうです。するとそのまま水辺に到達したそのままイノシシが水に飛び込んで泳いで逃げる例があるのかもしれません。
 イノシシは農作物に甚大な被害をもたらします。ただ、彼らも、意図的に人間に喧嘩を売っているわけではなくて、単に環境の変化に適応しようと必死なのでしょう。その「環境の変化」の一部には「人間生活の変化」もあるわけで、するとこんどは人間の方が「イノシシによって変化させられた自分たちの環境」に適応するために必死にならなければならない、ということに?


1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年10月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031