mixiユーザー(id:1041518)

2017年05月23日17:11

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.389は形而上学

アマゾンのマーケットプレイスで購入した本が届いた。
三木清の『アリストテレス形而上学』だが、やはり概説書であった。興味のありそうなところを読んでみると面白い。

刊行年は1935年(昭和10年)と戦中で、岩波書店の「大思想文庫」というシリーの一冊である。文庫といっても箱入り上製本で定価は「壹(一)円」だった。シリーズの宣伝のページをみると「自由分売 各冊壹円」とある。当時の一円とはどのようなものか実感は湧かないが、一両よりは身近である。

勤めていた会社の社長が昭和10年生まれで、いつも「長嶋茂雄と同じ」と言っていたが、ウィキでみたら長嶋は昭和11年2月生まれだった。生年は違うが学年は同じということらしい。それはどうでもよいが彼らが生まれた頃に出た本なのである。本の裏の価格は「\1.00」となっていた。つまり、現代のはなはだ権威が低いアルミ貨の一円ではなく、銭や厘を従えた殿様みたいな「手の切れるような」一円紙幣だったのである。

だから一円の哲学書というのは、そこそこ高価なものだったかもしれない。しかし殿様商法の岩波が「自由分売」を強調しているのだから、そこそこ手頃な価格設定でもあったのではないか。すでに十五年戦争に含まれる時期だし、4年後には第二次世界大戦が、6年後には太平洋戦争が始まる頃に西洋の哲学者シリーズはどんなふうに読まれていたのだろうか。

長嶋茂雄は成長しながら敵国生まれの「ベースボール」をやっていたわけだが、その球技では今でも打者の成績を0.325(三割二分五厘)などと表示したり語ったりしている。戦後は何でも%で表現する時代になるなか、これはかなり異例なことだろう。銭や厘を超えて円(10割打者)に到達できるプレイヤーは永遠に現れることはないだろうが、ランディ・バースの.389が恋しい今日このごろである。それって形而上学だよね、とか言われそうだ。さっき5時のチャイムが鳴り響いた。mixiで遊んでいてはいけない、『メタピュシカ』の時間だ。


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