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2017年05月10日23:53

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それほどのものか?バラードとラヴクラフト

久しぶりにアーケードに行くとコンテストをやっていたので、上級と中級で金メダルを取ってきた。初級は明後日以降でいい。
やっと読書意欲が復活した。ニコ超帰国で入手した古書を読みまくりたいところだが、まず新刊で入手した積ん読本からやっつける。

やたらと世間が持ち上げているが、自分の価値観に照らすと首をかしげたくなる作品というのはあるものだ。意図したわけではないが、世評と自己評価が激しく乖離した本が二冊続いた。

・ハイ・ライズ(75)作:ジェームズ・グレアム・バラード
この人、今一つなんだけどな。神林が二回も勧めてくれたので、仕方なし。
高層マンションの住人たちは上中下の居住空間が、そのまま社会的地位に一致している。もとから反目しあっていたが、上層部の飼い犬が殺されたことから、激しい対立が起こる。秩序とインフラは破壊され、マンションは廃墟と化していく。

原始的な鬱屈が近代的生活を破壊していく、というテーマは理解できる。争いが徐々に過激化していく展開は、緊迫感があっていい。でも、それだけだ。孤島や人工衛星じゃあるまいし、郊外のマンションなんか出ていけばすむことだ。買取式なので意地でも動けないのだろうが、水道や電気が止まっても頑張り続ける動機があるだろうか。何かを文学的に象徴しているのかもしれないが、そんなのは知ったことじゃないし。
筒井康隆の短編に、寄生型エイリアンに乗っ取られたホワイトカラーとブルーカラーが集団で殺し合いを始める話があった。似て非なるテーマだけど、そちらのほうがはるかに面白かった。
バラードてそんなに凄い作家ですか?際立ったところは皆無だと思うが。★★★

・ラブクラフト全集1(1925〜1931)作:ハワード・フィリップス・ラヴクラフト
アンソロジーで何作か読んでいるが、まとめて読んで見た。中編二作と短編二作を収録。
『インスマウスの影』不気味な海辺の町を支配しているのは、両棲魚人だった。徐々に真相に迫っていく筆致は迫力があり、引き込まれる。が、異なる民族に対する嫌悪感たっぷりの描写は、読んでいて気分が悪くなる。作者はひどい差別主義者だったそうだ。
おっさん、他人の事いえるか?あんたも写真で見るかぎり、かなり気持ち悪い顔してるぞ。

『壁のなかの鼠』逆転が技あり。近代的なセンスを感じる。
『死体安置所にて』陰惨なコント。暗いO・ヘンリーとでもいうか。わりと好き。

『闇に囁くもの』ホラーというより、混合型トンデモ話だ。
人類が発生する前の地球に、冥王星から恐怖の邪神がやってきた。
ちょっと待て。宗教は人間が作ったものだろ。恐怖は人間だけが感じる感情だ。人類発生以前に神と恐怖が、どうやって存在できるんだ。
クトゥルフ神話とやらがやたらと評価されているが、SFやファンタジーならともかく、ホラーを体系的に創作することなんか、できるだろうか。あと2冊ほど読んでみるけど、あまり期待していない。本書は小説として、まずまず面白かった。★★★
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