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2024年05月26日17:53

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母に会う/「放浪・雪の夜」織田作之助

3ヶ月ぶりで母のいる介護施設を訪問した。歩けるようになってて驚く。リハビリのスタッフ(整体師さん?)は偉大だ。亀のように丸まってた背中が直立している。老人の腰て治るものなのか。一安心だ。

・放浪・雪の夜 作:織田作之助
薄くて手頃なので買ったら、非常に好みだった。1947年に34歳の若さで夭逝した作家だ。晩年はヒロポン漬けだったらしい。経歴だけ見ると引いてしまうが、これだけ面白ければ文句はない。11篇収録の短編集だ。
「放浪」は板前の半生を描く。売り上げを持ち逃げした使用人が豪遊する場面が秀逸だ。具体的な予算と使い途が詳細に書き込まれているのが良い。
「雪の夜」は同じ女を取り合った男と再会する。めちゃくちゃにテンポが早い。大阪を中心とした庶民の人生になぜこんなに魅力があるのか。語りが上手いのだ。弾むような文体に乗せられて、瞬く間に読んでしまう。

この感じはどこかで読んだと思ったら、野坂昭如に似ているのだ。年代から言えば野坂が織田の影響を受けたのだろうが。
「俗臭」は成り上がりの一代記。
「人情噺」下働きの寡黙な男が小さな幸福を掴む。
「天衣無縫」しっかり者の女房が、頼りない亭主をどやしつける。いかにもな大阪小説だ。
「四月馬鹿」は亡くなった先輩作家を悼む追悼文のような掌編。「馬地獄」は洒落たコントだ。
全部面白い。外れなし。★★★★★
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