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2024年05月22日17:58

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読書を再開する/「風俗江戸東京物語」「ファラオの密室」

活字を読むのが苦手になった。読書力が衰えたと嘆いていたが、新しく老眼鏡を買うとガシガシ読めるようになった。単に眼鏡が合ってなかったのだ。

・風俗江戸東京物語 著:岡本綺堂
「半七捕物帖」は他の類似作と違って、本物の江戸時代が描かれていると評判である。明治五年生まれの著者が、当時は存命どころか社会で活躍していた江戸時代の人につぶさに取材した成果である。

前半は聞き書き江戸風俗が語られる。見てきたような講談や子引き孫引きではなく、現実の江戸が理解できる。
各種の祭りは庶民が自発的に盛り上がったのではなく、幕府からの命令だったらしい。意外だなあ。火事や芝居の話が興味深い。悪質な駕籠かきが客を脅すのは時代劇の定番だが、逆の場合もあった。
行列の頭数のために雇われた人足が、主人の身分を傘にきて中で揺さぶる。「困ります、走れません」と訴えると、金を寄越せば揺すらないと要求する。恐喝をユスルというのは、ここから来たらしい。ほんまかいな。

明治風俗は実際に体験した話だ。娘義太夫の流行はアイドル産業の走りだ。寄席や新聞の号外の話が面白かった。小説と違って世相解説なので、やや読みづらい部分もある。でも貴重な資料である。★★★★

・ファラオの密室 作:白川尚史
「このミス」大賞受賞作だ。舞台は古代エジプト。神官セティは、心臓に欠損があるため冥界で裁判が受けられない。三日間の猶予をもらったセティは、ミイラ姿で現世に復帰して自分の心臓を盗んだ犯人を探す。

ユニークこの上無しの題材だ。予想外の展開が続き、ストーリーも良く出来ている。政争や奴隷少女の運命が絡む筋立ては変化に富んでいる。惜しむらくはトリックが今一つ物足りない。終盤のサプライズは好きだ。★★★
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