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2016年08月18日07:26

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お菓子好きの主張

 日本ではいい年をした男が「お菓子が好き」と言うと軟弱者扱いされますが、そういった傾向は世界では少数派だそうです。だとしたらこれからの「グローバリズムの時代」に適応するためには「いい年をした男が『お菓子が好き』と堂々と言える社会」を目指すべきなのかもしれません。

【ただいま読書中】『「ポッキー」はなぜフランス人に愛されるのか? ──海外で成功するローカライズ・マーケティングの秘訣』三田村蕗子 著、 日本実業出版社、2015年、1500円(税別)
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 カルビーは2010年から本格的に海外進出を始めました。日本で生産されるジャガイモの10%をカルビーが使っているそうです。恐るべし、ポテトチップス。カルビーが国内のジャガイモのサプライチェーンを抑えているため、今から新規参入する企業は、材料調達の時点で大変です。ただ、海外では、フリトレー(ペプシコの子会社)が世界中のジャガイモをがっちり抑えているため、カルビーが海外に進出してもポテトチップスで勝負しようとしたら材料調達の時点で勝ち目はありません。そこでカルビーは「豆」に注目しました。豆だったらいろんな種類があるので、そこに自分の技術力をぶつけて世界で勝負しようとしているのです。
 湖池屋のカラムーチョは、各国の人の嗜好を反映させた製品を作っていて、「いつかメキシコに進出を」が夢だそうです。
 森永製菓のハイチュウは、2009年にボストン・レッドソックスの田澤投手が「おやつ」として持ち込んだのが他の選手やスタッフたちに大受けをして、その結果球団からスポンサー契約の申し出があった、という驚きの展開だったそうです。もしかしたら大リーグ中継でくちゃくちゃやっている選手の中には、ガムではなくてハイチュウを口に入れている人がけっこういるかもしれません。話はどんどん広がり,2015年からはノースカロライナ州で現地生産が始まったそうです。ハイチュウの人気のもとは他者が真似できない独特の食感でそれは全世界で受けています。ところがそのままではイスラム向けのハラル認証が得られないため、東南アジア向けの製品ではゼラチンなどの処方を見直してハラル認証をきちんと受けようとしています。その先にはインド、さらには…… 他社に真似できないオリジナリティにプラスした現地用のモディファイが海外進出の基本のようです。
 日本はチョコレートの「本場」ではありません。しかし著者によれば、「チョコレートの先進国」だそうです。その根拠は「楽しくて高品質のチョコレート菓子が庶民価格で豊富に用意に手に入る国は日本だけ」だから。高級チョコレートの話ではなくて、庶民のお菓子の話ですが、こんな国は(著者が世界のあちこちで食べた限りでは)ほかにないそうです。そして、グリコがグローバルブランドとしているのが「ポッキー」です。この製品の「他にはない売り」は「ながら食べ」ができること。笑っちゃいますが、言われてみたら確かにそうですね。フランスでは「ミカド」という名称になっているそうですが、その“路線”も「大人向け」に変更されているようです。本書に紹介されたフランスでの「ミカド」のテレビCMの内容は……ううむ、こんなエロいものをお菓子の宣伝にして良いの? フランスの感覚ではOKなんでしょうけれど。
 「日本のお菓子のグローバル化」で逆に見えてくるのが、日本の特殊性です。異常なくらい私たちは世界の食体験を豊富に持っています。「本物」ではなくて「疑似体験」や「ただの知識」の場合もありますが、ともかく日本人は「世界でいろんなものが食べられていてそれはこんな感じの味」ということを知っているのです。バブル期からこっち、ティラミスに始まる年がわりの「スイーツブーム」もすごかったですね。だからお菓子会社は大変です。そういった舌が肥えている(あまたは頭でっかちの)消費者の要望に応えなければならないのですから。
 最後に本書からクイズを一つ。私たちはせんべいをバリバリ、あられはボリボリ食べますが、「柿ピーをクトゥル・クトゥル食べる人たち」はどこの国でしょう?


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