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日記一覧

「水晶内制度」
2020年09月30日21:00

読書日記「水晶内制度」笙野頼子 作(エトセトラブックス)日本国内に独立する女だけの国「ウラミズモ」。原発と少女データを経済力として、したたかに生き延びるこの国で、新たに神話を書き起こす作家である私が見たものは?驚異のディストピア小説。第1章

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読書日記「忘却についての一般論」ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ 作(白水社 EXLIBRIS)1970年代アンゴラ独立闘争のさなか、密かにマンション内に身を隠し約30年を生き抜いた女性。内戦下で揺れ動く様々な人々の運命がしだいに彼女の運命と繋がってゆ

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読書日記「サブリミナル・インパクト」下條信輔 著(ちくま新書)ふだん自覚できない無意識の情動的な認知。潜在する心の働きが我々の意識に先んじて働く様子を消費や政治、創造性など様々な視点で分析する。やはり意識して考えていることより、快・不快の感

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「路地の子」
2020年09月17日21:11

読書日記「路地の子」上原善広 著(新潮文庫)大阪府松原市。昭和まっただ中。被差別地域である路地から、包丁捌きの腕と才覚で食肉業界をのし上がった男のルポルタージュ。私も大阪出身だが遠く離れた北河内なので、物語の舞台である松原市が屠畜業盛んな土

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颱風(タイフーン)
2020年09月14日21:28

読書日記颱風(タイフーン)レンジェル・メニヘールト 作(幻戯書房)20世紀初頭、パリに集う日本人たちとある事件をめぐるいかにも日本人的な対応。黄禍論高まる中で書かれたハンガリー作家による大ヒット戯曲。国民が利己主義を捨て、国家のために犠牲とな

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読書日記「会いに行って」靜流藤娘紀行笙野頼子 作(講談社)笙野頼子が心中、師と仰ぐ藤枝静男を語る熱き思い。私小説の極北である「田紳有楽」を中心に、これがなぜ私小説なのかしだいに明らかになっていく。この論考自体が私小説。藤枝静男は私にとっては

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読書日記「カフェ・シェヘラザード」アーノルド・ゼイブル 作(共和国)ポーランドからナチの手を逃れ、ソビエトからも脱出したユダヤ人たち。メルボルンのユダヤ人街でカフェに集う古老達の凄絶な体験記。ホロコーストを逃れたユダヤ人達がまさかオーストラ

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