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日記一覧

下北沢タウンホールで催された「社会学者・大澤真幸が解き明かす『三島由紀夫 ふたつの謎』」という講演会に、家から近いし、時間もあったので行ってきた。生の大澤真幸を見るのは、出版社で働いていた時に会社へ来たの見たとき、6年くらい前に柄谷行人の講演

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磯田光一の絶筆『萩原朔太郎』を読了。三島由紀夫論で出発し、近代日本におけるロマン主義の問題を論じ続けた磯田が、最後になぜ朔太郎を論じたのだろうか。未完に終わっているため、磯田の『萩原朔太郎』がどこに着地したかはわからないが、ついに書かれなか

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南青山の児相問題。松本隆は青山出身で、はっぴいえんどの『風街ろまん』は、昭和39年の東京五輪を機に変わりゆく青山界隈の風景への郷愁を歌ったものとして有名である。松本隆が惜しんだのは、トンネルに蝙蝠が棲んでいたようなまだ東京郊外の雰囲気を残して

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BUMP OF CHICKENの初期の名曲「グロリアスレボリューション」に、 その耳に何が聴こえるの? 「I'm a loser」? 願わくば「We are the champion」?という、ビートルズとクイーンを引用している歌詞があって、上手い引用だな〜と思っていたのだけど、何が上手

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ボヘミアン・ラプソディ
2018年11月26日23:59

『ボヘミアン・ラプソディ』を観てきた。賛否両論ある理由も僕なりに分かったかな。僕自身は楽しめたし、ラストのライヴエイドのシーンでは不覚にも目頭が熱くなった。あまりよくなかったという人の意見として、フレディの生い立ちやセクシュアリティに関する

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うらうらに照れる春日にひばり上がり情悲しもひとりし思へば(大伴家持)「うらうら」という言葉で、春の日ののどかな光を表現した最初の人は大伴家持だという。これが「うらら」と略されたものに接尾語の「か」がつき、「うららか(麗らか)」という形容動詞

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これはもう誰かが指摘しているかもしれないけど、『半分、青い。』と『まんぷく』が、ともに「発明」をモチーフにしている作品だというのが興味深い。その同じモチーフに、前者が全くリアリティを感じさせることができなかったのに対し、後者はすでに「この人

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セルジオ・レオーネの、おそらく最も一般的人気の低い映画であろう、『夕陽のギャングたち』の冒頭の駅馬車の場面は、それこそジョン・フォードの『駅馬車』、さらにはその下敷きとなったモーパッサンの『脂肪の塊』への見事なオマージュになっている。この場

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『まんぷく』がいい。『半分、青い。』が朝ドラ史上屈指の超駄作だった反動も手伝ってか、朝ドラ王道のフォーマットにのっとって展開される『まんぷく』は、「やっぱり日本人は朝ごはんは味噌汁だよね」と言いたくなるような安心感と保守的心地よさを満喫させ

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一重まぶたの美しさ
2018年10月07日00:13

「日本の歴史」に平成が登場 | 2018/10/6(土) 12:50 - Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/pickup/6299190この小学館の『学習まんが少年少女日本の歴史』は、僕が歴史好きになるきっかけとなったシリーズだから、感慨深いものがある。あれはたしか福岡

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9月7日発売のポール・マッカートニー5年ぶりのニューアルバム『エジプト・ステーション』、発売当日に購入。日本におけるポール・リバイバルともいうべき現象を惹き起した『NEW』とそれに伴う来日公演も、もはや5年前ということになる。新作では「エジプト」

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「暗い心を持つ者は暗い夢しか見ない。もっと暗い心は夢さえも見ない。」――なんて、今夜「新ノーベル文学賞」へのノミネートが報じられた村上春樹はそのデビュー作『風の歌を聴け』で書いているけど、ほぼ時を同じくして、遺伝子操作で夢を見ない鼠の作製に

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さくらももこと大瀧詠一
2018年08月29日02:21

『ちびまる子ちゃん』というと、映画版『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』が、感動的で押しつけがましくない反戦映画になっていて、僕は名作だと思う。特に大瀧詠一の「1969年のドラッグレース」の場面は、ビートルズの『イエローサブマリン』を思わせる

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浦山桐郎監督の『キューポラのある街』を観た。「三丁目の夕日」などで後に一種クリシェのレベルで延々と反復されることになる高度経済成長期の明日を信じて底辺で健気に生きる庶民の姿を描いた「原典」的作品といえるだろうか。『あしたのジョー』のドヤ街の

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夏の夜の夢
2018年08月10日21:14

ある意味、今年の夏一番の話題映画である『カメラを止めるな!』を観てきた。個人的には映画館まで観に行くほどではなかったかな。もっと凄いものを見せてくれるかと期待が大きすぎたのかもしれない。細かいところに拘れば欠点の方が多いのだけど、最後まで退

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戦争とファンタジー
2018年07月19日22:56

今回の芥川賞を受賞した高橋弘希、どこかで見たことのある名前だと思ったら、大岡昇平の対談集『対談 戦争と文学と』(文春学藝ライブラリー)の巻末解説「戦争がファンタジーになるとき」を書いている人だった。なるほど、出世作の大東亜戦におけるニューギ

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地下鉄サリン事件が起きたのは、ちょうど僕が社会人一年生だった頃。元々、宗教やテロには人並み以上の関心を寄せるタイプの子供だったので、この事件には何だかんだいって大きな衝撃を受け、その後の物の考え方に大きな影響を与えられたように思う。20代の僕

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「おや」と「親」
2018年06月08日21:35

結愛ちゃん虐待死「ひどい親」と批判しても事件は減らない 「評価」に追い詰められる親たち (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット) https://dot.asahi.com/dot/2018060800027.html目黒の5歳女児虐待死事件。今でも自転車で10分くらいの場所なので、現場

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空想的市民主義
2018年06月07日12:20

まだご存命だったのか。鶴見俊輔なんかと並んで、古き懐かしき戦後市民左翼を象徴する存在だと思う。20代の頃に、岩波新書の『戦後思想を考える』を読んで、特にその資本主義・社会主義双方の「能力主義」を批判するラジカルな「労働価値説」に永遠の夢想家を

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調和への入場券
2018年06月07日00:59

この事件、一昨年まで住んでいたアパートから歩いて一分もかからない場所で起きた事件だということもあって、いろいろと「生々しく」感じてしまうものがあるのだけど、やはり、僕としてはどうしてもイワン・カラマーゾフの「反逆」を思い出してしまう。「かわ

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『人形の家』と『蓼喰う虫』。この二作品は対をなすような関係にある――というか、おそらく谷崎は『人形の家』のパロディ的批評として『蓼喰う虫』を書いたのではないかと思われる。イプセンでは人形のように可愛がられる状態から一人の人間としての自我に目

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日大の宮川選手、彼がちょうど20歳で、しかも丸刈りの素朴できりっとした風貌が、大戦中の学徒動員兵を彷彿させるため、どうしても一連の「悪質タックル」の構造的原因は、かつての「特攻」と同形のものと思われ、日本型組織の孕む陥穽のアタイズム的な反復を

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近代日本文学の最高峰とも称されることの多い谷崎潤一郎の『細雪』が、「恋愛小説」ならぬ「見合小説」であることの意味は存外大きいもしれない。自然主義以来、「個人の自我」を前提とした「自由恋愛」を描くことが日本の近代小説の主流となった。結果、近代

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「――一日のはじまる早朝、清新の気がみなぎって、自分の力も曙光と共にかがやいているのに、本を読むこと――それを私は悪徳と呼ぶ!――」(ニーチェ『この人を見よ』)今年に入ってから、毎朝、起床後シャワーを浴びたあと、食事を摂る前に30分〜1時間ほ

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小説の言葉の可能性
2018年05月03日22:09

たとえば、谷崎潤一郎の『細雪』に次のような文章がある。「雪子はさっき、玄関に叔母の声が聞えた時から姿が見えないのであるが、多分二階の部屋へ逃げ込んで小さくなっているのであろうと、幸子は察して、上って行ってみると、果して六畳の居間の、悦子の寝

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車輪の唄
2018年05月03日20:51

現在乗っている自転車、先代が2001年に事故で廃車になって買い換えて以来の愛車だから、かれこれ20年近い付き合いになる。たしか15000円ほどで購入した、ごく平凡なママチャリである。その間、あるスーパーに駐輪していたところ車にぶつけられたらしく、半壊

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『半分、青い。』が高校生編になり、北川悦吏子って時代の表層しか見えない人なのだいうことがよく分かった。というか、時代の表層を捉えるセンスの鋭敏さによってのみ90年代に時代の寵児となった脚本家なのだろう。しかし、時代の表層しか捉えられない人――

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佐川宣寿前国税庁長官(1957年/昭和32年生まれ)は、元文学青年で、十代の頃は芥川龍之介や柴田翔、大学時代は高橋和巳を愛読していたそうな。「中学3年生の時、父が死に、3人の兄たちが働いて学費を出してくれた。高校時代は芥川龍之介、柴田翔などを読み、

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現代の『蜘蛛の糸』
2018年04月06日00:19

5年くらい前、とあるイベントで直かに会って、少しだけ話をしたことがある。もらった名刺には、誇らしげに「作家」と印刷されてあったのだけど、その名刺は部屋のどこかに残っているかもしれない。日本のメディアでは、「元アウトローの感動更生物語」が定番

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『半分、青い。』の主人公は1971年生まれという設定。僕と同い年ということになる。とうとう僕らの世代の幼少期もNHK的なノスタルジーの対象となったということか。第二次ベビーブーマーの成長物語を、朝ドラ的フォーマットでどのように描いていくのか、興味

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