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日記一覧

中世ドイツの騎士にして叙事詩人ハルトマン・フォン・アウエの代表作『グレゴリウス』、その『グレゴリウス』を下敷きにしたトーマス・マンの『選ばれた人』。美しい双子の兄妹の近親相姦によって生まれ、「罪の子」として捨てられた後、凜々しい若者に成長し

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林芙美子の『放浪記』は、現在新潮文庫で読める版は第一部、第二部、第三部で構成されている。『放浪記』は元々、無名時代に芙美子が書き続けていた日記を基にしたもので、雑誌連載をまとめたものが昭和5年に『放浪記』(これが現在の「第一部」にあたる)と

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「翻訳家」三島由紀夫
2020年11月14日13:41

未読だったゲーテの戯曲を読もうと、図書館で全集を借りてきて読み進めているのだけど、『プロゼルピーナ』という戯曲(独白劇)を三島由紀夫が訳していた。ドイツ文学の専門家でもない三島がなぜこの戯曲を翻訳することになったのか、経緯がちょっと気になる

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大統領選を機に、アメリカという国への興味がにわかに高まり、買うだけ買って読んでなかった会田弘継の『追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)を読む。予想外に面白い一冊だった。トランプ政権誕生に至るまでの戦後アメリカの保守主義の歴史を通覧した一

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スタインベック最後の作品、『アメリカとアメリカ人』を読む。書かれたのは公民権運動の盛り上がる1966年のこと。当時の世相を踏まえつつ、最後の作品とあってアメリカへの遺言というべき趣がある。『アメリカとアメリカ人』という題名が、アメリカ人にとって

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林芙美子の『放浪記』第一部に、富士への愛憎を歌った次のような詩がある。「富士を見た 富士山を見た 赤い雪でも降らねば 富士をいい山だと賞めるには当らない あんな山なんかに負けてなるものか 汽車の窓から何度も思った回想 尖った山の心は 私の破

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『タクシー運転手』に続いて、今度はあんまり重い映画は観たくなかったので、これもアマプラにあった『イエスタデイ』を観た。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がチャック・ベリーが未だ存在しない世界でチャック・ベリーを演奏する衝撃を描いていたように

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『タクシー運転手』
2020年10月18日19:53

何年か前に評判になっていた韓国映画『タクシー運転手』がアマプラに入っていたので観た。考えてみれば、映画だろうがドラマだろうが、韓流をちゃんと観るのはこれが初めてだった。物凄く単純にまとめれば韓国版『キリング・フィールド』という感じの作品なの

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林芙美子の『放浪記』(新潮文庫)の38頁に、「明日は明日の風が吹くだろう」というフレーズが出てくる。いまでは諺レベルで人口に膾炙しているこの言葉、出処はどこだろうと思ってググってみたところ、映画『風と共に去りぬ』のラストの「Tomorrow is anothe

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僕はヴァン・ヘイレンの熱心なリスナーではなかったけど、80年代に思春期を過ごした人間として、またロックの歴史を「ギター奏法の発展の歴史」みたいな視点で聴いてきたこともあって、エディ・ヴァン・ヘイレンはやはり特別な存在として畏敬していた。『バッ

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チャペックの『白い病』読了。原作は1937年刊行。ナショナリズムと戦争熱が高まるある架空の国を舞台に、謎の伝染病が流行する中、その治療法を確立した医者と独裁者が「平和(人類愛)か戦争(祖国愛)か」を巡って劇的に対立するさまを描いた戯曲。粗筋を紹

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「荒井由実」の夭折
2020年09月28日12:18

僕は実はユーミンは自分から積極的に聴いたことはなく、アルバムも一枚も通して聴いたことはない。しかし若い頃に「恋愛の教祖」として流行っていたので、友人のカーステで無理矢理聴かされるとか、コンビニに行くと流れてるとか、ジブリアニメの主題歌に使わ

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石原慎太郎の飲酒運転
2020年09月23日12:16

山口達也は、ロックバンドとしてのTOKIOにおけるシド・バレット、あるいはキース・ムーン的ポジションのメンバーになればいいと思う。ところで飲酒運転というと、元東京都知事の石原慎太郎は、福田和也が「数世紀後に、二〇世紀日本文学をふり返った時に名前

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次期総理にほぼ決まりの菅義偉官房長官。サラブレットの多い政界では、異色の経歴の持ち主といっていいのではないだろうか。秋田のイチゴ農家の長男として生れ、高校卒業後、集団就職で上京し、板橋の段ボール工場で働くことから社会人としてスタートしている

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日本の大衆音楽の一つの最高到達点として今後も永く聴き継がれるであろう大滝詠一の『A LONG VACATION』。リリースされたのが1981年なので、かれこれもう40年近く前のアルバムになる。40年という時の経過の意味するものを、ちょっと考えてみた。たとえば、198

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ドイツ18世紀啓蒙思想を代表するゴットホルト・エフライム・レッシングの『ミンナ・フォン・バルンヘルム』を読んだ。岩波文庫版の表紙カバーに「ドイツに数少ない喜劇の傑作」とあるように、たしかに皮肉の利いた科白がテンポよく飛び交い、ぐいぐい引き込ま

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80年代におけるブルース・スプリングスティーン体験をモチーフにした青春ロック・ムーヴィー『カセットテープ・ダイアリーズ』が公開中で、『ボヘラプ』ほではないけど、洋画・洋楽不毛の地である日本でも、そこそこヒットしているみたい。映画『ハイ・フィデ

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男の世界
2020年07月07日02:46

エンニオ・モリコーネが亡くなった。最も人口に膾炙したモリコーネの曲というと、『ニュー・シネマ・パラダイス』あたりになるのだろうけど、僕としてはやはりレオーネと組んだ映画のサントラにとどめをさす。ことにマカロニ・ウェスタンのサントラは、ビート

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ノーベル文学賞受賞後初となるボブ・ディランの新作『Rough and Rowdy Ways』は全英チャートで1位となり、また、先行シングルの「Murder Most Foul」もキャリア初の全米チャート1位となっている。2001年の『 Love and Theft』あたりから無双状態に入ってい

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「ロボット」100年史
2020年06月14日02:07

いまさらながら、カレル・チャペックの『ロボット』を読んだ。「ロボット」といういまでは一般名詞として使われている言葉はこの戯曲に由来するが、奇しくもこの作品が書かれたのは1920年のことなので、今年は「ロボット」という言葉が誕生してちょうど100年

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最後の一人
2020年05月27日13:02

ジミー・コブが亡くなった。ジャズは有名なアルバムを取り敢えず一通り聴いているくらいの浅いリスナーだけど、ジミー・コブが参加しているマイルスの『カインド・オブ・ブルー』は、モダンジャズの決定的名盤であるだけでなく、たとえばフルトヴェングラーの

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最も卑劣な殺人
2020年05月25日12:24

ボブ・ディランがキャリア初の全米チャートのナンバーワンを獲得した新曲「Murder Most Foul(最も卑劣な殺人)」。こんなタイトルの曲がナンバーワンになるというのも凄いけど、この曲の歌詞は、一昨日に日本を騒然とさせた一人の女の子の死を歌ったもののよ

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「いいかね、ソクラテス、哲学というものは、たしかに、結構なものだよ、ひとが若い年頃に、ほどよくそれに触れておくぶんにはね。しかし、必要以上にそれにかかずらっていると、人間を破滅させてしまうことになるのだ。なぜなら、せっかくよい素質をもって生

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ソクラテス「人と人とが可能なかぎり、最も親しい間柄になるのは、昔の賢い人たちが言っているように、「似た者が似た者に」対する場合であると、ぼくには思われるのだが、君にもそう思われないかね」カルリクレス「そう思われる」ソクラテス「それでは、粗野

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ゴダイゴの浅野孝已が亡くなった。思い返せば、僕が子供の頃は、『西遊記』や『銀河鉄道999』の主題歌でゴダイゴが大ヒットを飛ばしていた時代で、「モンキー・マジック」にしろ「ホーリー&ブライト」にしろ「銀河鉄道999」にしろ、今の耳で改めて聴いてもカ

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末松太平の『私の昭和史』と太宰治の『善蔵を思う』には、それぞれ印象的な青森駅前の描写がある。「弘前から汽車で青森にでる。東北線夜の七時の急行に乗ろうとするのである。 手錠をかけられ腰縄をうたれている。が、腰縄のはしは憲兵なり警査なりに、いか

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二・二六事件と太宰治
2020年02月19日00:18

今年ももうすぐ2月26日がやってくる。僕は二・二六事件には詳しくないのだけど、三島由紀夫が強く惹かれていた事件でもあり、少しずつ文献を読み進めている。当事者の書いたものとして第一級の史料と言われる末松太平の『私の昭和史』の中で印象的だった文章

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グスタフ・ヤノーホは『カフカとの対話』で、カフカが語ったものとして次の言葉を回想している。「犯罪小説はいつも、異常な事件の背後に隠されている秘密をあばくことが、問題となります。しかし、人生においてはまさに正反対です。秘密は背景に引っ込んだり

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