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日記一覧

松本健一の『右翼・ナショナリズム伝説』(河出書房新社)を読んだ。『右翼・ナショナリズム伝説』は、ソ連崩壊、冷戦終焉の衝撃がまだ生々しかった90年代前半の世相を背景に、それまで敵対関係にあった「新右翼」を代表する一水会の勉強会に松本が講師として

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いままで色々な音楽を聴いてきたけど、ペンタングルのファースト・アルバムほど「唯一無比」という言葉の似合うアルバムも滅多にない。フォークでもあり、ジャズでもあり、ブルースでもあり、トラッドでもあり、ロックでもあり、またそのすべてを超えるような

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三島由紀夫の天皇論の集大成である『文化防衛論』を巡って交わされた三島と橋川文三の論争は昭和文学史上に名高い。三島は『文化防衛論』で、「ザインとしての天皇」に「ゾルレンとしての天皇」を対置するという構図で、近代立憲体制に取りこまれた明治以降、

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「普通の人」への憧れ
2015年03月16日13:42

2011年に出ていた平野卿子による新訳『トーニオ・クレーガー』(河出文庫)が図書館でふと目に止まり、取り敢えず第一章だけ読んでみたら、これが大変素晴らしい翻訳で一気に作品の世界に惹き込まれてしまった。岩波文庫の実吉捷郎訳は別格として、現在翻訳で

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5年くらい前にテレビが壊れて家でテレビを観るときはワンセグで――という基本「テレビオフ」生活を送っているのだけど、高畑監督の『かぐや姫』が地上波初放映ということで、久しぶりにPCでワンセグを立ち上げ日テレにチャンネルを合わせてみたら、なんだか

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嫉妬のおわり
2015年03月10日23:19

「誰にでも好かれていた上村君と、誰からも嫌われて暴力によってしか自分の存在を主張できなかった18歳。もしかしたら、18歳の上村君に対する「嫉妬」こそ、今回の川崎の事件の最大の引き金だったのかもしれない」――と僕は3月2日に呟いていたけど、やはり「

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学芸大学駅前の恭文堂という本屋に行ったら、バレンタインデー&ホワイトデーの贈り物用キャンペーンとしてか、文庫本がチョコ付きで売られていた。なんともスイーツな企画だけど、本――ことに小説(文学)――なんていうのは本来、トーマス・マンの『トニオ

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容疑少年たちが反省や後悔と取れる供述をしているとの報道が出ているけど、そういう彼らの供述も減刑狙いの計算にすぎない――という感じで批判するネット上の発言が結構多く見られる。たしかに容疑者のやったことは許されるものではないし、川崎の事件の特に

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川崎の事件、上村君の経験した「風景」の変化というのを僕は思い浮かべてみたくなる。皇室とも浅からぬ所縁のある前近代的なエトスを多く残しているであろう人口三千人の隠岐の孤島と、近代日本を支えた工業立国を象徴する百万都市の川崎を、上村君は13年の短

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