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2024年05月03日05:06

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懐かしさという調味料は、賞味期限が切れると無意味だということですね。ウィリアム・クレイン監督「吸血鬼ブラキュラ」(1972)。

僕は昔から、映画の質についてうるさく言い続けています。つまり質の悪い映画はダメなのですが、たまに質が悪くてもいいんじゃなかろうか?と感じる場合もあります。たいていの場合、やはり質の良い映画しか無意味だと後悔するのですが、何かの加減で惹きつけられたりするのでした。

そんな不埒な印象が、ときには映画の新しい波を察知することにもつながるのですが、大局的に見てそんな体験は稀有なのです。それでも、もしかしたらという期待が、どうせ時間の無駄だという考え方を上回ってしまう“出来心”というやつに支配される場合が何度かあるのでした。この「吸血鬼ブラキュラ」もその1本です。

今にして思えば、CS局あたりがひょいと放送していたと記憶しますが定かではない。そんな映画がレンタルDVDに“新作”として紹介されたら、僕のような人間はとりあえずリストに加えます。そしてようやくリストの上位に来てレンタルへ、という方向に進んだしだいです。それが果たして好運だったのかどうか?

そもそも僕が加入しているレンタルDVD屋さんは、“こういう作品もレンタルしてますよ”と言いながら、“在庫切れですからリストから削除してください”と平気でのたまう会社です。僕が勝手にリストアップしたかのような言い分なので頭にきます。だって会社が在庫として表記していなかったら希望リストに載せるはずないじゃないか。

それを今になって“メーカー在庫切れ”だそうで。ということは、自分たちで在庫していないDVDを“売り”に出していたわけで、それはインチキ商法そのものでしょと言いたくなるわけです。自分たちの在庫品がレンタル中に事故で滅失したというのなら、そのように言いなさい。メーカー品切れですから手に入りませんとはなにごとだ?

というような苦情をここに書き立てても意味ありませんが、そろそろオワコンのレンタルDVDですから、なんとか“懐かしさ”に騙されたいと思っている僕に、冷水をぶっかけるんじゃないよ!ということなのでした。

で「吸血鬼ブラキュラ」ですが、ことらは正真正銘のブラック・エクスプロイテーション映画でした。はい、制作会社はAIPです。この会社は、それこそ極々たまにですが見ごたえのある映画を作ることもあるので、取り扱い注意の映画会社です。この「吸血鬼ブラキュラ」の日本公開は、ちょうど「傍役グラフィティ」の時期とダブっていたのでした。

だから“エリシャ・クック・ジュニアが出てる”と見に行ったしだい。今回見直すと、ゴードン・ピンセントも出ていましたが、こっちは今となっては僕の揮発性メモリーに弾かれてしまいます。しかしそれでも、ヴォネッタ・マッギー(写真2)とデニース・ニコラス(写真3)という黒人美女のお二方には、喜寿になっても“再会したい”と熱望したのです。

とりわけシャープな美貌のヴォネッタ・マッギーですね。ドラキュラ伯爵の意地悪のせいで吸血鬼となったブラキュラ(ウィリアム・マーシャル)に対し、物怖じすることなくその愛に応える姿はすばらしい。高校時代の倫理・社会の先生が、“ひとつ言っておきますが、好きな女性に対しては一押し二押し三に押しです。経験者は語る”とおっしゃっていたことを僕は忘れません。←僕が実践したかどうかは、ヒ・ミ・ツ。

残念なことにヴォネッタ・マッギーは、2010年にお亡くなりになってました。デニース・ニコラスはご健在らしい。シャープな美貌のヴォネッタ・マッギーが、吸血鬼の求愛(吸愛?)にすんなりと応えるところが泣かせます。それを見つめるデニース・ニコラスのソフトな感じもいい。これぞ友情、という感じです。

というような部分に、そして黒人俳優たちが中心の吸血鬼物という目新しさに公開当時は惹かれたのでした。その50年後となっては“賞味期限切れ”も甚だしい。とはいえまだ“化石”として珍重されるわけもありません。レンタルDVDの衰退とともに、こういう作品は映画の歴史から消え去る運命なのです。それではサイナラ、サイナラ、サイナラ…。
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