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2024年04月19日00:52

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亡き父への思いがあれば盗みも許される? 馬鹿言うんじゃない! フランス製アニメ「リンダはチキンがたべたい!」(2023)。

フランス製のアニメと言うと、僕はポール・グリモーの「王と鳥」(初回公開時は「やぶにらみの暴君」)を思い出します。そんな古典を持ち出さなくても、「ペルセポリス」(2007)や「minuscule ミニスキュル 〜小さなムシの物語〜」(2006)というテレビ物もあります。しかし今回の「リンダ」は、そんな作品と比べてはいけない。

つまり、わざわざ2Dアニメにし、それぞれの登場人物を色分けして描くなどしているのですが、根本的な部分で倫理に反しているから僕は買いません。いや、むしろ“許せない”と言いたい。倫理というものは、たいてい体制側の論理であるから、それを無視しても反体制派からは歓迎される訳ですが、これはそうではないのです。

つまり主人公のリンダは、かつて父親が作ってくれたチキン料理が食べたいと言い、母親もそのために努力するのですが折悪しくゼネストにぶつかります。そこで諦めればいいものを、母親はリンダの夢を叶えようと養鶏所に直談判するのですが、責任者の夫婦はストに参加していて不在で、そこにいた息子は判断できないからと断ります。

そしたらリンダの母親は、養鶏所から鶏を盗み出してまで、リンダの望む料理を作ろうとする。こんな物語を“心温まる”と感じる人がいたら、僕はその人の倫理観を疑います。これが許されるのなら、社会の基本的なルールが覆るでしょ。そんな“体制打破”という大きな考えはもちろんなく、“子供のためやからええやんか”という甘えが許せません。

こんなアニメを“亡き父との思い出の味であるパプリカ・チキンを食べたいと願った8歳の少女が、母と一緒にストライキ中の街で鶏肉を求めてドタバタ大騒動を繰り広げるさまを、カラフルでワイルドなアニメ表現でコミカルかつエモーショナルに描き出していく”と好意的に紹介するなよ。

コミカルではなく苦笑しかないし、エモーショナルなんてエモい部分は皆無ですぜ。料理下手の母親が子供の言葉を信じずに嘘つき扱いをし、その自分の非道さを挽回するために他人の財物である鶏を盗もうとするわけです。そんなストーリーを考えるだけならまだしも、具体的にアニメにしてしまうという論理はサイテー以下だと僕は思う。

よくもまぁ、数多くのスタッフがこんなアニメに参加しましたね。延々とタイトルに名前が出てきますけど、みなさんこの物語に納得してますのん? 僕だったら、こんな作品に手を貸したと思われるのは恥だから、名前を消してくれと言いますけどね。あるいは生活のために必要な収入だったのかもしれないけど、それでもどうかと思う。

とりあえず、“世の中の悪の根源はカネである”とか言うのならともかく(でもそれは、現在の経済システムを否定することですけどね)、自分勝手な理由で盗みを働いちゃいかんのです。それを追う警官が、自転車で自動車を追いかけて、それを“ドタバタ大騒動”と喜んで笑えるのか? 勝手に笑い死にしてろ。

いや、こんなアニメを作っている限り、日本のアニメが世界制覇を果たすのも無理ないですね。日本のアニメはピクサーに叶わないと思っていたけど、ピクサーの中心人物がハラスメントで失脚するや、中身のないアニメばかり作り出したし。そんな程度で日本のアニメが喜ばれているとしたら、そのうち某国の国策アニメが世界制覇しまっせ。

とりあえず、作品として語るに落ちる映画でした。監督のキアラ・マルタとセバスチャン・ローデンバックは、ここに名前を晒してきちんと非難しておきます。“嘘つきは泥棒の始まり”と言いますが、嘘を挽回するために盗みを働いてどうする? もちっと“人の道”について考察してからアニメを作りなさい。手塚漫画から読み直せ!

もう怒り心頭で、阪神が連勝して勝率5割になったぐらいじゃ気持ちが収まりませんわ。映画倫理委員会って、こういう倫理は審査しないのか? しないでいいんかい?
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