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2024年04月15日23:40

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本棚621『生命とは何か』ポール・ナース(ダイヤモンド社)

 生命とは何かという大いなる謎に、細胞、遺伝子、自然淘汰による進化、化学としての生命、情報としての生命という五つの考え方から迫る。理解が追いつかない部分もあったが、自身の生い立ちや、大学ではなく醸造所で過ごした若き日の経験などにも触れながらの分かりやすい語り口に惹きつけられる。

 生き物が増える仕組みの共通性から、今の地球上のあらゆる生命は、巨大な同じ生命の樹の一部であり、現在の地球上の生命の誕生は、三十五億年の歴史でたった一回だけであったという。高校の生物の授業で、地球に生命が誕生する確率は、波立つプールに時計の部品を入れて、自然に時計が完成するくらいという話を聞いたことを思い出した。まさに一度きりの奇跡。今も世界で生じ続ける紛争も、地球温暖化のような人間生活が自然環境に及ぼす影響も、生物が皆、幹を同じくする遠い「親戚」であるという事実を知れば、利己ではなく利他の視点を抱き、解決の糸口を探れるのではないだろうか。

 生命とは何かという根源への問い、我々はどこから来たのかという問いは、我々はどこに行くのかを考える上で不可欠であるように思う。
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