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2024年03月12日05:06

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11年前の短歌人横浜歌会

フェイスブックというSNSの機能がよくわからぬまま、此処に載せた記事をフェイスブックにも転載している。そのよくわからぬ機能のひとつに、かつてあなたはこんな記事を書いていましたよ〜というのを頼みもしないのに時々出してくれる、というのがある。おおかたはふ〜んと思ってスルーしているのだが、先日は11年前の2013年3月の短歌人横浜歌会について書いた記事を出してくれた。

どれどれ…と読み返してみて、こんなことを書いていたのか、わが記憶力まことに怪し…とまたまた思ったのでした。
当時はまだ青の会ではなく短歌人横浜歌会だったのか、ということ自体、何か記憶の遠近法がぼや〜んとしている感がある。短歌人横浜歌会はその後「民主的」な結社にこんなことがあってよいのか、と言いたくなるような“取り潰し事件”があって、後継の青の会がスタートしたのだった。

で、2013年3月の会にては「襟かき合わす」というフレーズをめぐって議論が紛糾した、のだそうである。まるっきり記憶にない。いやはや……

また、ウェブ歌会よりは対面の歌会の方が断然良い、というようなことも僕は書いていたのだった。対面の歌会に出られなくなってしまった今読み返すと、ちょっと複雑な気持ちになる。

というような次第で、以下2013年3月の短歌人横浜歌会についての記事を再録します。

[以下再録]
昨日は短歌人横浜歌会でした。先月は僕は参加できなかったので、そして1月は横浜歌会自体がお休みだったので、12月の忘年会の時以来で、中2ヶ月空くと、なんだか久々に戸塚駅で降りたなあ、という感じになります。埼玉歌会の場合は毎回参加しても中2ヶ月、1回休むと半年ぶりになって、希少性という価値がそこには生じるのかも知れません。ともあれ、最近確信したのですが、ウェブ歌会よりは実際に顔を合わせての歌会の方が断然良い。実際の歌会に出ようと思えば出られないことはないのだけれど、その代用としてウェブ歌会に参加してます、みたいに思っている方がもしおられましたら、その妄信を断ち切るべし、と申しあげたい。

今回の歌会報告は「全体に公開」の日記にして、ある一首の一部だけを引きます。

「襟かき合わす」と言えば、もちろん和服、でしょうか? その前に「ポケット」という語があったら如何?

というのが問題になって、相当の時間をとって紛糾した一首がありました。その時間のとり方自体が、短歌人東京歌会ではあり得ないような進行で、そういうところが横浜歌会の良さでもあります。(東京歌会も、もっと皆さまめげずに参加し続けて、この人数の多さではもう全員で一回の歌会というのは無理・・・、ということになったら、東京歌会を二つに分ける、というような案が現実の問題になるでしょう。)

僕はそんなに迷うことなく、まず「ポケット」の語があるので、コートとかブルゾンを想像し、その襟をかき合わせた場面を想像してすんなり読んでしまいました。ところが、人生の経験を積んだ年齢層の女性の参加者たちから、「襟かき合わす」といったら、これは和服、しかも女性。それ以外に考えられない。どうしてその前に「ポケット」があるのかさっぱりわからない、という意見が出されたのでした。

議論は紛糾しましたが、結論というか教訓として合意されたのは、「襟かき合わす」といえば和服の女性を思うというのが、日本語の蓄積というものである、だが、最近は、特に若いひとたちは、「襟かき合わす」といえばかくかくしかじかであるのだよ、などと言うと、そんなことは知ったことではない、作者が感じたままを自由に詠めばそれでいいじゃないか、と言う向きが多いだろう、そういう反応があり得るということもわからないではない、でも、あまりにも先行世代がものわかりが良すぎるようになってしまって、そうだよ、何でもありでいいんだよ、ということになってしまったら、このようにして歌会をやっている意味もなくなってしまう、やっぱりそういうことはこういう場でしっかり伝えてゆくべきなのだ、というようなことでありました。

もしこの一首がウェブ歌会に出されたら、こんな議論の展開にはおそらくならなかっただろうと思います。ウェブ歌会にはあまり人生の経験を積んだ方は参加されず、どちらかというと“どんぐりの背くらべ”のようなメンバー構成になることが多いからです。歌会というのは、異なる他者と出会う場なのでしょうから、それなら参加者のバリエーション自体ができるだけ多様な方がいい。ウェブ歌会よりは実際に顔合わせての歌会の方が得るところが多い、と思う理由のひとつは、そんなところにもあるように思います。
[再録終り]


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