怨みではなく平和のために　（東京新聞「発言」欄より）

［以下引用］

　　怨みではなく平和のために　東京都世田谷区　大石弘子　無職　98歳

ウクライナへのロシアの侵攻、イスラエルのガザ攻撃など、どれだけ人が殺され、亡くなったか、日々報道されている。

しかし、どれにも比べられない惨劇が、1945年３月10日、米軍によって行われた。米軍は焼夷弾の無差別攻撃で、東京の一区域の人々を一夜にして10万人焼き殺した。このことについては以後の世界は沈黙。あたかも何もなかったかのように。世界のどこからも聞こえてこない。この沈黙は何だろう。

［…中略…］私たちは東京大空襲を忘れてはならない。記憶し、見つめ続けなければならない。それは「怨み」のために、ではなく、「人間が戦いに狂うこと」を忘れぬために。

［…中略…］今、私の目はよく見えず、新聞の見出しは読めても細かい記事はよく読めない。よく見えないわが目であるのに、パソコンに向かっている。どうしても「一夜にして10万人を焼き殺した」人間のことを書きたいから。怨みではなく、平和のために。

［引用終り］

〜東京新聞2024.2.5「発言」欄より。


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