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日記一覧

忘れずにいよう−2
2015年12月30日05:20

先ず、アメリカと約束をしてしまったんだよな。 対米従属を国是とするこの国の国家権力の運用者たちからすれば、当然の段取りだということになるのかも知れないが、今後のこの国のありようを長いレンジで考えた時には、その判断は決して“当然”ではない。 貴

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忘れずにいよう−1
2015年12月29日02:12

糾すべき一事暖炉のもえゐたり   渡辺あや …30年前に他界した伯母の渡辺あやの遺句集『水引草』より。 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1204299627&owner_id=20556102 忘年会などと言うてなべて忘れて年を越しましょう、などという根性はよろしくない

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     さびれた村に今ぞ死ぬるそのとき妙に落ち着いてゐる夢だつた のそのそと起く一億と二千万ゐてわれなどは活躍しない二千万の方わが脳のさびれた村に潜むらしほらほらあいつ、あいつのなまへ万聖節前夜祭(ハロウィーン)の明くる早々聖誕祭祭歌(ク

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知らぬ間に背の丸まりて歩きゐるガラス戸ごとにわが身の映る   池田祥子閉ざされし穴の暮らしの妖しさは忘れ難しも『砂の女』よモナリザの微笑みわたしを拒みたり組まれしもろ手も開かれぬまま犇めける卵かと見る柘榴の実あるかなきかに透きとおる赤さわさ

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2015年12月号より。また夏は来る くるけれどこの夏のたった一度を文箱に仕舞う   鶴田伊津…2句の「来る くるけれど」の一字アケによる句割れがいい感じの韻律を生んでいる。また夏は来るけれど、この夏、たった一度しか届かなかったあのひとから

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たまには俳句を(45)
2015年12月19日06:03

血と肉と熱の塊揚雲雀   小野 豊(NHK俳句2015[以下同じ].3.8)石舞台盗まれもせず春嵐   米谷 茂(読売俳壇3.16)山桜われ五歳より百姓す   榎本四郎(日経俳壇4.12)ブラジルの秋考へる朝寝かな   目黒 航(NHK4.1

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先日ある歌会で小池光歌集『思川の岸辺』(2015年9月、角川書店刊)の合評会を行ないました。最初に、お手許にこの歌集をお持ちの方へ、誤植のお知らせ。68頁の2首目《父の死といふ出来事のなつかしさ弔問に学生のきみ来てくれたし》の結句末尾「くれ

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角川「短歌」10月号にて阪森郁代さんにわたくしの歌集『アルゴン』(六花書林)を紹介していただきました(9月28日の日記にて記しました)。その後、下記の誌面にて『アルゴン』をご紹介いただきました。ありがとうございました。*「未来山脈」10月号

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何のための紐であつたか垂れ下りとりあへず今朝蜘蛛が巣を張る   小笠原和幸「俳句王国」(NHK・BS2)を見ていると、番組冒頭の句会メンバーの自己紹介の時に「俳句をやっていてとても楽しい」というふうに言う方が多いように感じる。ああ、俳句って

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先日、マイミクのQuaさんのブログ(「カームラサンの奥之院興廃記」)にて、飯島晴子[1921-2000]の俳句に注目しているという記事があり、そこに引かれていた句を見て、「お!このひとの俳句はおもしろそう!」と思ったのだった。全作品が読める書物もあ

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*以下すべてmixi掲載稿からの抜粋(一部補正あり)です。印象に残った歌の記録(14)は8月31日の日記(※)をごらんください。 (※)http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1945606067&owner_id=20556102亡き父が包丁を手に亡き母を見すえた過去も西瓜

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2015年11月号より。歳月の月日の日時のいづみあり喉を潤し足を濯ぎぬ   阿部久美…「歳月」「月日」「日時」と単位は細かくなってゆく。それぞれに「いづみ」があって、そこで喉を潤したり足を濯いだりするんだよ、と詠う。いいなあ。何度も口ずさみ

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「老扇風機」のうた
2015年11月29日21:20

おさなごに好きな色ありなかんずく老扇風機の羽根のみずいろ   中井守恵全力で廻つてるんだと訴ふる老扇風機の音をうべなふ   斎藤 寛守恵さんの歌は、仙台文学館・小池光短歌講座2014年度記録の冊子より、2014年9月6日、題「扇風機」。小池

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    議事堂空に浸すわがTシャツは長調の歌をうたへり秋のベランダシールズのリズム新しあしひきの山折哲雄氏とくと聴くべし包囲さるる議事堂を離(さか)りて来れば皇居は暗くしづもりをりぬやれ打つなとわが思ひしをあかときに事切れてをり蠅一匹はかた

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新聞歌壇より(80)
2015年11月26日16:34

お母さんはあんたよりもっと殺してる巣に水を入れたりもした   田中有芽子…日経2015.8.23。ゾゾッとする歌。蟻を潰しておもしろがっている子に、普通なら、そんなことをしたらアリさんがかわいそうでしょ? おやめなさい、とか言うところ、この

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単独のポプラ
2015年11月24日19:50

     単独のポプラ            斎藤 寛微笑みとともに目覚めぬ夢にては誰もたれもがやさしかりしよ息吸へば傍らに息吸ふひとのあるがに思ひつつひとり吸ふ乳(ち)の間(あひ)を胸窪(むなくぼ)と呼ぶひとなりきそのむなくぼに挿しし一輪

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沖浦和光さんの評伝
2015年11月19日19:39

今年の7月8日、沖浦和光さんが他界された。1970年代前半、思想的な“東と西”の間でウロウロしていた僕にとって、沖浦さんの名は深く記憶に刻まれている。たぶん、この日記を見てくださっている方の中で、「ああ、そうそう、そうだった…」と言ってくだ

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試験電波発射中
2015年11月16日16:08

関東圏限定の話題ですみません。東京の民放AMラジオ3局(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送)が12月から「ワイドFM」と称して従来のAMでの放送と同時に、同内容をFMでも放送するのだという。今、その開局準備に向けて3局がFMで試験電波を発

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エリさんが作詞した歌
2015年11月15日08:58

「短歌人」のお仲間のエリさんが作詞された歌のCDが発売され、さっそく聴いてみました。エリさんは、歌人にして、詩人、また作詞家という多彩な世界を持っておられる方です。エリさんのサイト(*)で彼女の諸作品を読むことができますが、「作詞」の項には

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堀田季何歌集『惑亂』
2015年11月13日20:58

2015年9月、書肆侃侃房刊。堀田季何はいま39歳の若手の(と言っていいだろう)詠み手である。が、いまどきのいわゆる若手のひとたちの詠みようとは明確に一線、いや、二線も三線も画している作品だ。歌の旧仮名表記はもちろんのこと、歌集タイトルも収

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今日(11月9日)は田中雅子の命日である。今年の7月12日、短歌人東京歌会の研究会で、田中雅子の歌についてレポートした。その頃は母が入院していてmixiはお休みしていたので、そのレポートについてはこの日記に記していない。それで、改めて田中雅

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東京新聞の「運勢」
2015年11月08日07:02

東京新聞朝刊のラストの面に載っている「運勢」がおもしろい。「運勢」というと、普通、吉だの凶だのあるいは今日のラッキーカラーだの、そういうことを書くものだが、この「運勢」はいささか趣きが違う。人生訓のようであったり箴言のようであったりすること

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市原克敏歌集『無限』
2015年11月06日19:11

不識書院、2004年刊。林間叢書第380篇。2002年5月に63歳で他界された市原克敏さんの遺歌集。生前に歌集は出されていなかったので、この歌集が市原さんの唯一の歌集である。巻末に、おつれあいの市原賤香(しずか)さんが書かれた克敏さんの闘病

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現代短歌社、2015年10月刊。『三匹の羊』(稲妻社、2003年)に続く池田祥子さんの第2歌集。第1歌集のタイトルに「続」を冠して第2歌集のタイトルとするというのは、芸がないと言えばそうかも知れぬが、私は小手先の匙加減による新しさなどは求め

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2015年10月号より。頁繰るごとに近づく死はありぬ遺歌集を読む夏のいちにち   加藤隆枝…せつない歌だ。遺歌集は、当人は無念にして、あるいは刊行する意思はなくして他界し、残された者たちが編んだ歌集である。制作年順に編まれている場合、その歌

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     浦賀道鬱鬱と覚めたる朝に鬱蒼とみどりは在りてわれを生かしむ齋藤家先祖代々の墓のまへ汲み来しみづはやや白濁すひと所のみに降り継ぐ雨の音 渇くといふことつくづく寂しゆるり届く「遅達」、料金三割引、のやうなひとだが俺は好きだな安倍ごとき

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補遺2件
2015年10月24日19:24

補遺2件、その1。9月30日の日記で小島熱子歌集『ぽんの不思議の』の紹介を書きました。小島さんはパソコンを使われない方なので、その文面をプリントしてお送りしましたら、返信をいただきました。その返信中、《春風に髪は吹かれてかたはらにすかんぽ三

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茅ヶ崎市美術館(*)にて、「棟方志功 萬鉄五郎に首ったけ」を観てきました。(*)http://www.chigasaki-museum.jp/初めて訪ねた美術館でした。駅の近くながら緑に囲まれた公園の中に図書館と美術館がたたずんでいて、とてもいい感じです。独立展や二紀展も

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独立展&二紀展
2015年10月19日20:00

今日、例年の恒例行事と化しつつあるような感もありますが、国立新美術館にて独立展(*)と二紀展を見てきました。(*)http://www.dokuritsuten.com/83/index.html※二紀展については今回の展示についての主催者のサイトがまだありません。独立展は、今か

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還暦を過ぎて三年。
2015年10月13日23:55

拙歌集『アルゴン』のあとがきに、「還暦を過ぎてかれこれ三年という年齢のゆえか…」と書きましたが、本日をもって「かれこれ」は消え、還暦を過ぎて三年とあいなりました。昼間は例によって(という感じになってきましたが)、鎌倉・光明寺さんの「お十夜」

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