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2023年01月13日20:22

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「覚える」と「わかる」知の仕組みとその可能性

読書日記
「覚える」と「わかる」知の仕組みとその可能性
信原幸弘
 著
(ちくまプリマー新書)

様々な状況における様々な理解と学習。「わかる」こととはどういう心と体の働きなのか、平易な例を豊富にあげて解説。

覚えること、わかること、状況を把握すること。あらためて言葉にするとあたりまえのことが丁寧に解説される。漢文素読から始まって身体知やクオリア。直感・アジャイル・フレーム問題。本来はもっと奥が深いであろう問題が誰にでもわかる範囲で書かれている。やはり若者向けの入門書シリーズ「ちくまプリマー新書」ならではの内容だった。人間の知覚を有効に支配する情動の仕組みなど面白かった。

「実存的感情」状況に応じて様々に変化する喜びや悲しみなどの情動や知覚。ところがそれらとは違ってその背後に一貫して存続するこころの働きがある。世界に対する根本的な親しみ。それが「実存的感情」である。実存という言葉はひさしぶりに聞いたが、まさ正鵠を射た感がある。この感覚はおおいに肯けるところがあって、ここをもっと掘り下げてもらいたかった。

徳について、正義・勇気・節制・慈愛などの倫理的徳と知的勇気・好奇心・粘り強さなどの知的徳に分けて語られている。徳は卓越した性格だが適度な中庸を保つことができるものである。種々具体例があげられてそれはそうだが、ではそもそもなぜ人間に徳のあるなしがあるのだろうか。頭の良さとは違うものだと思うが、それはやはり生来のものなのだろうか。その辺りが謎だ。
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