パンとバスと２度目のハツコイ

パン屋で働く若い女は仕事の帰りにバスの洗車を見るのが好き。そのバス会社で働いている若い男がたまたま入ったパン屋で中学生の頃の友人だった女に再会する。その女はいつもバスの洗車を見ている人だった。静岡から上京して東京で再会した二人は急接近し、同じく上京組の女を交えた三人は旧交を温める。パン屋の女は中学生の頃はバス会社の男のことを好きで、現在結婚している上京組の女は中学生の頃はパン屋の女のことが好きで、大人になってから再会したので関係がちょっとややこしい。バス会社の男はバツイチ子供アリだけど別れた元妻のことが今でも好きで、パン屋の女は最近プロポーズされたけど断った過去がある。そんな煮え切らない男女の恋愛になるのかならないのかの曖昧な関係を共感とユーモアを交えて見せる今泉力哉監督の旧作。
この監督のファンになってから旧作を見たいと常々思っていたのだがなかなかその機会がなく、そしたら下北沢に新しく出来た映画館で１ヵ月も前から特集上映をやっていた。気がつかなかったなあ。下北沢に映画館が出来たことも知らなかった。特集上映をいつまでやるのか分からないけど、未見の映画は見れるだけ見たいものだ。
恋愛映画の名手、と謳われつつ最近では恋愛映画にとどまらない良作を頻出している今泉監督だが、確かにこの頃は恋愛映画の作家。悪くはないのだがちょっと青臭いか。今現在の方が上手で面白い映画を撮っている。この頃より成長している、ということか。
主演の深川麻衣が何を考えているのかよくわからない女を好演する。この女優はちょっと陰のある役をよく演じるのだが、その陰の感じが絶妙でいいんだな。本作が映画初出演とのことだが、監督は深川麻衣の良さを最初から分かっていたということか。