熱海の観光ホテルから始まった殺人事件が偽札偽造団と謎の組織の陰謀へと拡がっていく松本清張原作の石井輝男監督作。
この原作小説は割と最近読んでいて大変面白かったものだ。松本清張ってこんなに面白いんだ、と認識を新たにしたのだった。人間の業とか悲しい性をテーマにすることの多い松本清張だけど本作の原作は徹底したエンターテインメントで分厚いながらも一気に読ませる。
そんな原作だけど映画になっているとは知らなかったし、監督が石井輝男だとは驚きで見ることにした。
文庫本でもかなりの厚さの原作を1時間半以内で見せる。概ね原作に忠実ではあるけど、ひたすらテンポがよくて原作のエッセンスだけを抽出したような感じ。誰が殺されても驚かないし意外な黒幕の正体が知れても驚かない。ここまでうまくまとめたのは石井監督の力かもしれない。
ラストに唐突に現れる佐久間良子に呆れてしまう。あんなところに突然現れるわけがないじゃないか。
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