現在世界中を席捲している「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督による珠玉の作品集。
親友が語った最近出会った男との恋バナの相手は元カレだった話、色仕掛けで大学教授にトラップをかけようと録音していた女が教授に勇気づけられて録音素材を進呈しようとする話、20年ぶりに故郷で同窓会に出席したけど誰も覚えてなく帰りがけに会いたかった旧友と再会して喜んだけど赤の他人だった話。タイトル通り偶然と想像をテーマにしたオムニバス映画。濱口竜介短編集、とあるのでオムニバス映画というより短編集という言い方の方がしっくりくる。
映画ではあるけど映像の面白さではなく延々と続く会話がすこぶる面白い。これはこのまま小説にしても面白く読めるだろう。
一話で性格のキツい女が男をいたぶる場面に見ていて傷心の思いだったけど、二話と三話のユーモアと愛情に満ちた話に満たされていく。三話の最後の台詞とハグのシーンに清冽な感動を覚える。
長い長編映画を得意とする濱口竜介監督は短編映画もまた上手な人だった。
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