満員電車

東京の大学を卒業しビール会社に就職した青年が尼崎の工場に派遣される。工場の騒音が原因による歯痛が治ったかと思ったら膝に痛みが移動し、寮の隣の住人はまともな人のようでそうでもなさそうで、実家の母親が発狂したと父親からの手紙が来たけど本当は父親の方が狂っていて、そんな父親から資金援助を受けた心理学者が精神科医として独立しようとしていた矢先に事故なのか自殺なのかわからない死に方をして…。
市川崑が描く不条理ブラックコメディの怪作。本作が市川崑のコメディ映画だとは知ってはいたけどこんな話だとは知らなかった。高度経済成長期を揶揄したサラリーマンコメディだと思っていた。
安部公房に笑いをプラスする、または筒井康隆から笑いをマイナスする、というような感じか。「未来世紀ブラジル」の毒みたいなのも感じられる。
こんな変な映画も撮っていたとは、市川崑ってやはり面白い。