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2021年01月30日20:32

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「狭き門」

読書日記
「狭き門」ジッド
 作
(新潮文庫)

言わずと知れた世界名作文学。

あまり知らなかったジッドをもう少し読んでみるべく、代表作を手にとってみたが後半ほぼ挫折したようなものだった。このアリサという女性の信仰と恋愛のジレンマは容易には理解できない。

この二人は遠距離という条件はあるものの、もう少し日常的な平凡な触れ合いを重ねてみるべきだと思う。二人にとって至高の愛を思いつめるから、それが天上への愛との相克になるのではないだろうか。キリスト教での神への忠誠がそんなにも排中的なものなのかはわからないが、アリサはそもそもが修道院に入る以外方法がないタイプの人間だろう。文庫本巻末の石川淳の跋文にもあるとおり、ジッドの生家である「プロテスタントの風丰(ふうぼう)」あらわす性格で、苦しむことこそ神への忠誠である。

彼女は自分の存在が恋人ジェロームの信仰を邪魔するものと思いつめてしまうが、やはりこの狂信こそが真の宗教なのか。神から脅迫を受けて人生をスタートさせたようなものである。あまりに狭い、狭き狭き門である。
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