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2020年03月08日05:49

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僕が見た本数としては少し映画から“離れていた”時代なのに、内容的には最も詳しい感じの10年でした。WOWOWで放送の「ハリウッド映画の一世紀」第4回「1970年代」。

アメリカン・ニューシネマという映画の流れは、「イージー・ライダー」(69)から始まり「レイジング・ブル」(80)までというのが一般的です。つまり、1970年代は、まさにアメリカン・ニューシネマの10年だと言える。ということで今回は「ラスト・ショー」(71)から始まりました。トム・ハンクスが、“舞台は1950年代だけど、私についての映画だと思った”と語る。ハンクスは1956年生まれですから、サム・ボトムズ(1955年生まれ)に近い。

そして“1960年代はハリウッド映画の予算が破滅的に膨張した”と解説が入ります。映像は「ペンチャー・ワゴン」(69)と「ドリトル先生 不思議な旅」(67)。そう、1960年代はミュージカル映画がアカデミー作品賞を4作品が獲得した時代でした。MGMミュージカル全盛の1950年代でも2作品なのに。

そんな訳で低予算作品が作られて、芸術面での自由度が高まったというわけです。ここで「恐怖のメロディ」(71)とスピルバーグの劇場用第一回監督作「続・激突!カージャック」(74)の映像が流れます。そしてアカデミー作品賞に輝いた「フレンチ・コネクション」(71)についてホリー・ハンターは、“ジーン・ハックマンの人生が煮えたぎるような怒りが面白かった”と語り、ウィリアム・H・メイシーは“どの映画も暗く《人生はクソだ》と言っていた”と述べています。

そのメイシーの言葉に続く映像が、「わらの犬」「地獄の逃避行」「スケアクロウ」「ロング・グッドバイ」なのでした。そして「ダーティ・ハリー」「脱出」へとつながる。さらに「パットン大戦車軍団」でコッポラが登場し、「ゴッドファーザー」(72)へと流れるわけですが、ここでコッポラが「フィニアンの虹」(68)への不満を語り、しかし撮影を見学に来ていた学生ジョージ・ルーカスとの出会いをスナップ写真で見せてくれました。

パラマウントはアメリカン・ゾートロープ社を設立したコッポラに、嫌がるベストセラー本「ゴッドファーザー」を監督させ(破産寸前という足元を見たそうな)、“これがヒットするなら、もっと若手に撮らせよう”という風潮をハリウッドに生んだということのようです。そしてマーテイン・スコセッシが「明日に処刑を」(72)と「ミーン・ストリート」(73)を作る。

かくてロジャー・コーマン門下から、ニューシネマを担う監督たちが出てきます。大学で映画を学んだ連中が、自由な映画作りを求めたわけです。コーマンはロン・ハワードに、“これを当てたら、二度と俺と仕事しなくて済む”と「バニシングIN TURBO」(76)を監督・主演させたそうな。

そしてウディ・アレンが「アニー・ホール」というコメディーでオスカー作品賞を取ると、メル・ブルックスの「ブレージング・サドル」(74)などがヒットします。「ブレージング・サドル」の主役はリチャード・プライヤーの予定だったのですが、薬物依存で会社が難色を示し、プライヤーの“主役はクリーボン・リトルがいい。俺より色が黒い”という言葉で実現したらしい。

そしてシドニー・ルメットの「セルピコ」(73)と「狼たちの午後」(75)でアル・パチーノの演技の話に進み、後者は“銀行強盗映画の定石をすべて覆した”と評価します。その方向からパム・グリアら、ブラックスプロイテーション(Blaxploitation) 映画へと進み、黒人たちから人気だったブルース・リーの「燃えよドラゴン」(73)へ。“誰もが空手を習ったが、リーのようになる前に投げ出した”という解説が最高です。

そしてダスティン・ホフマンが主役としてもてはやされたことに対しホフマンが、“主人公が(見た目で)ラストには助かると分からない方がいい”と述べた店には、実に納得しました。ジョン・ウェインは実際に70年代に亡くなっているわけだし。

さらにロバート・アルトマンやハル・アシュビーという、ハリウッドが嫌う個性派監督たちから、バーブラ・ストライサンドやロバート・レッドフォードら、“スターが映画を作って主張し始めた”作品へと進み、1970年代の映画の特徴は“初めて商業的な映画製作とインディーズ精神が合体した。それが新しい展望を開いた”と締めくくります。ラストの数分に40本近い作品の映像が連続するあたりは壮観で、結果的のそのほとんどを見ている僕には、実に壮観な走馬灯でした。

次週はいよいよ「1960年代」。つまり僕が自分の意志で映画を見始めた時代となります。どのように解説してくれるのか楽しみで、とても待ちきれない(笑)。なにしろ「スター・ウォーズ」(77)の映像として、「特別編」では修正された賞金稼ぎ射殺シーンがちゃんと見られるわけです。その編集感覚に拍手!
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