mixiユーザー(id:6327611)

2020年03月06日09:14

82 view

イライラが昂じて歯軋りしてしまうほどだが、この映画の緊張感は高く評価したい。ジョシュ&ベニー・サフディ監督「アンカット・ダイヤモンド」(2019)。

こういう映画が見られるからNetflixはありがたいのです。それと同時に、こういう映画を積極的に作っているNetflixには感謝するけれど、そのいい映画を、こんな校正の行き届かない日本語字幕でよしとしている日本のNetflix担当者たちには文句を言いたい。それはすなわち、“経費は安ければ安いほど良い”とする本社経営陣への不満でもあるわけです。

まず邦題の「アンカット・ダイヤモンド」って何だ? 原題は「Uncut Gems」だから“宝石の原石”でしょう。実際に字幕にはオパールとは出てくるけどダイヤモンドとは一度も出て来ません。それなのに安易に邦題をつけた責任者、出て来い!

とはいえ、強烈な映画でした。サフディ兄弟は「グッド・タイム」と「神様なんかくそくらえ」で知っていましたから、監督名を見ただけで飛びつきましたし。出演者なんか誰でもいい、という感じ。そしたら、主人公のいい加減な行き当たりばったり男がアダム・サンドラーじゃありませんか。アダム・サンドラーといえば「パンチドランク・ラブ」でキレると怖い男をみごとに演じていて驚きましたが、今回はそれ以上。

個人的にはこういう人物とは十分距離をとって生活したいほうです。←つまり半径2キロ以内接近禁止というヤツね。そんなやつを主人公にした映画なんか見たくもない、というふうに昔は思っていましたが、そんな気持をぶっ飛ばすほどの迫力でドラマが進みます。手持ちカメラとアップの連続ですから、方法だけを論ずれば30分ルールでしょう。

しかし永遠の5歳であるチコちゃんは知っています。じゃなかった、永遠の13歳であるギークでナードでオタクでクレイジーな僕は知っています。この迫力が画期的なことを。そして手持ちカメラのがたつきを喜ぶだけの小児的手法ではなく、この監督兄弟はフィックスショットもみごとなのでした。撮影はウディ・アレン作品を手がけているダリウス・コンジ。

物語については何も知らずに見てください。宝石というものは僕には未知の世界ですが(縁がないと言うべきか)、そしてNBAのスーパースターがどんな人間かは全く知りませんが、そんなの関係ない。とにかくこの映画を見て、“ボーっと生きてんじゃね〜ょ!”と怒鳴り飛ばされるといい。そんな映画です。

とにかく字幕に校正ミスが多い。“ショールーム”が“ショールム”だったり、“リバウンド”が“リバンウンド”だったりします。そして汚い言葉だと強調するつもりなのか“キサマ”“ヤベー”とやたらカタカナが多い。岡枝慎二さんは著書で“カタカナや平かなを適度に混ぜるべし”と述べておられますが、カタカナを増やせとはおっしゃっていません。

さらに“俺に漬け込んでるな”とありましたが“つけ込む”でしょ。アダム・サンドラーは糠ミソの樽ではないのです! “何を売ろって”に至っては、意味不明でした。というような指摘をすると、バカな制作担当者は字幕翻訳家に損害賠償を請求するか、以後使わないという報復に出るでしょう。問題は時間を与えず低価格で買い叩いて字幕をつけさせている制作会社にあるのだよ。

僕はこんな安っぽい仕事で、この面白い映画を埋もれさせたくありません。デジタル素材だから修復は簡単に可能でしょう。僕が校正してあげるから、連絡してくださいね。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年03月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031