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2020年02月11日05:03

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僕はこの監督とはリズムが合わないようです。バリー・ジェンキンス監督「ビール・ストリートの恋人たち」(2018)。

「ムーンライト」でアカデミー作品賞を取った監督の、その次の映画です。「ムーンライト」は、アカデミー賞の係がツイッターに気を取られて封筒を間違えて渡したヤツ(笑)。あの映画も僕は乗り切れなかったのですが、今回も同じでした。それは僕が“バナナ野郎”だからという理由ではないと思います。

物語は、ニューヨークのダウンタウンで恋人同士の黒人カップルの、青春している姿から始まります。「ムーンライト」もそうでしたが、この監督はこういう場面を情感たっぷりに描いてくれる。それ自体は僕の好みなのですが、僕には今回も“冗漫”なのでした。家族つきあいをしている黒人一家で、幼なじみだったティッシユ(キキ・レイン)とファニー(ステファン・ジェームズ)の恋心を映し出すのですが、二人の生活が何も見えていないから戸惑います。

もしかしてアメリカ人なら、二人が映し出されたらすぐに生活環境や考え方が見抜けるのかもしれませんが、僕には無理でした。そして理不尽な白人警官によって、ファニーは婦女暴行犯として逮捕されます。そういうことが頻繁にあった時代なのでしよう。冒頭にジェームズ・ボールドウィンの言葉がテロップで表示されるから、1970年代初めの物語のようです。←“ようです”としか僕には分からないのでした。もちろん21世紀ではないとは感じていましたが。

おそらく監督の意向は、事件の背景となった時代や、その当時の人種偏見に対する告発ではないのだと思います。それならそれで、僕は「ラビング」のような圧倒的な恋物語をやってほしかった。無駄にテンスを行き来して社会情勢を描くよりも、時制どおりにドラマを展開して、愛のドラマをうたいあげてほしかったわけです。そしたら冒頭の情感が、もっと大きく爆発したと思う。

ま、時制を前後させるのが最近の作り手の常識のようですから、文句を言うのは年寄りだけなのかも。でも、そういう年寄りを納得させることなく除外していたら、作り手たちの進歩はないと思うよ。もうちいと、多面的にものを考えなされ。
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