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2020年02月04日06:10

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知らない監督で知らない主演女優だからこそ、見ておくべき映画でした。スーザン・ジョンソン監督「マイ・プレシャス・リスト」(2016)。

まず、imdbの点数が6.6なので、今までだったらパスしていました。でも契約中の有料BSで放送したので、“料金のうち”だからと録画しておきました。HDDに空きがあると、なかなかこういう作品を見ようとしません。かといって見ずに消すのも惜しい。そんなことで、ようやく手を出しました。出演者リストを見たら、ネイサン・レインとガブリエル・バーンくらいしか知らない。ジェイソン・リッターも知ってるけど、そんな野郎ばかり知っていても食指は動かんわけです。

主人公キャリー(ベル・パウリー)は、14歳から飛び級してハーバード大学に進み、卒業して19歳だけど定職を持っていません。そんなキャリー・ピルビー(これが原題)のクリスマス期間の物語です。父親(ガブリエル・バーン)の親友である精神分析医(ネイサン・レイン)から、年末までにするべき事柄をリストにしてそれを実行しろと言われます。

14歳から大学生に飛び級って、日本では考えられませんが、あるんですねアメリカには。僕の英会話の先生がそうでした(今の先生のお母さん)。だから卒業した年は僕と同じ。←僕は大学に5年在籍したから、境遇的には逆ですな。ということで、キャリーは14歳の少女が18歳たちの中に混じって奇異な目で見られたギャップと、12歳で母親を亡くしたトラウマなどに悩んでいるわけです。

そのどちらの問題にも無関係な僕ですが、キャリーが、彼女と同じようにMITへ飛び級したマット(ジェイソン・リッター)と出会うという展開がなかなかでした。実際にそういう人間に出会ったら、よろしおまんな勝手にしなはれ状態だと思いますが、この作品ではなんか“救い”に思えます。

日本で“勉強ができる”というと、知識が多いという意味に取られがちですが、頭がいいということは知識の量ではない。知識が多いのはクイズ王であって、頭がいいというのとは違います。知識というものは、それをいかに活用するかがポイントなのですが、日本人は“知っているか、知らないか”というテスト生活を強いられてきたので、知っている人をあがめがち。

そういう意味で僕は、トリビアを仕入れる努力をしました。“そんな細かいことまで知っている”という方向で得をするから。でも、たいていの知識は、知っているだけでは意味がないわけです。キャリー・ピルビーの悲劇は、ナマな生活実感(肉体関係を含む)において“歓び”を見いだせなかった部分にあります。そういう着目の仕方が、なかなかだと思いました。

とはいえ、結局“通俗的”な結論になってしまうところが残念。でも実社会には、こうやって埋もれていく才能が数多いのでしょうね。自分に才能があると感じることなく生活している人も多いのでしょう。とはいえ、そんな一般論が問題なのではなく、個人としての生き方、生活の充実という方向で、それぞれが人生を進むのが実際。そういう距離感を味わうことも意味があると思いました。

実際、6023の平方根を暗算で言い当てたとして、何も意味がないでしょ。←この映画ではキャリーは“75”と答えていますが、実際は77ぐらいでした。それを電卓で確かめてしまう僕は、知識偏重の日本人癖そのものだとも言えます。あるいはキャリーを演じたベル・パウリーが、実際は撮影当時23歳だったなど、突っ込んでしまうのは愚の骨頂ですな。

キャリー役にヘイリー・スタインフェルドが候補に上がったそうで、彼女なら19歳だったから適役だったでしょう。でも売れっ子だったからスケジュールが取れなかったらしい。マンハッタンがクリスマス色になっている20日間で撮影したらしいのですが、その街並みの雰囲気は楽しめます。橋の夜景がシルエットで映り、地下鉄が通っているからマンハッタン橋か、みたいな。ああ、ニューヨークへ行きたいなぁ。

リストの中に“ペットを飼う”というのがあり、キャリーは金魚を飼います。名付けてキャサリンとスペンサー。14歳で大学へ行く“ひきこもり少女”は、古典映画にも詳しいわけです。僕は、自分が生まれる前の映画に興味なかったなぁ。そういう意味で、やはり“知識”偏重教育なのかも。というか、知識を何に使うかという部分は、訓練として学校でやるけど、あとは本人次第だよというのが世の中の“常識”なんでしょう。キャリーも職場の仲間からいろいろ学びます。
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