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2020年01月07日21:27

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弾む楕円形2019-2020〜5〜レベルアップ

バックスタンドの後方に見える生駒山は煙っていた。その頂よりも低い位置にある雨雲。試合開始が近づくにつれてその雨量は減ったが、その分寒さが強まった。

第99回全国高校ラグビーの決勝戦。昨年に引き続き2年連続2度目の観戦となったボクの前には昨年大阪桐蔭に敗れ初の単独優勝を逃した桐蔭学園と4度目の決勝進出で初優勝を狙う御所実。

雨のため観客は少ないとは言え、屋根のあるメインスタンドはほぼぎっしり。ボクはバックスタンドに向かって右側のエンドゾーンぎりぎりの席に座った。屋根が大きくせり出して雨は避けられる。

当然だが奈良県代表の御所実の応援の方が多い。後ろにいた少年はお母さんと見に来ていたが相当ラグビーには詳しかった。

ノックオン、ノットリリーズザボール、オフサイド・・・

いやそれだけじゃない。ノットロールアウェイや危険なタックルまで笛が吹かれるたびにお母さんに説明していた。それこそNHKのサブチャンネル以上の解説力だ。高校野球を観ていてもいつも思うが、関西の子供は幼いころから生でこういう試合を観ている。当然だが、その身体能力だけではなく、その環境が育てる部分は他の地域に比べて大きいのだろうと思う。

そして試合はその少年が応援する御所が主導権を握る。準決勝まで奪われたトライは1つだけ。そのディフェンス力がものを言うだけではなく、桐蔭はミスを重ねた。

相手キックボールを捕球ミスによるノックオンの反則。さらにキックボールを捕球した左センターがフルバックにパスミス。御所が陣地を狙ってきていることに対して桐蔭はそれを跳ね返せなかった。キックの蹴り合いからのミスが要因となって力強いFW攻撃に耐えられず2つのトライを奪われた。

だが、そんな展開の中で桐蔭は相手陣内の押しこんでの攻撃で確実にショットで3点を返した。14−3・・・・


前半を終わっての得点だ。このPGは相手のペースにあることを認識した上での冷静な判断だったと思う。強気に攻めて行って無得点よりは最低でも反撃ののろしを上げた。

ここだ。ボクが思った桐蔭の強さは。相手の流れの中で0点で終わらず3点でも返すことが後半の反撃につながると彼らが判断した冷静さ。


それは後半に入って着実に表れた。キックの蹴り合いをやめてFWの連続攻撃を仕掛けた。御所のディフェンスの強さはわかった上での判断だろう。それがジワジワと効き始める。後ろの少年の声がだんだんと大きくなる。「ああ、ヤバいよ。」

しかしFWが繋ぎ、ポイントを作ってはバックスで展開するラグビーに御所は最終的にはついていけなかった。ホームスタンドの右寄りで観戦していたボクの目の前でライン際に走り込んでのトライは2度あった。ど真ん中に突っ込んだトライもあった。

結局桐蔭は後半20点を奪い無失点だった。点差を考えて相手の希望を打ち砕くドロップゴールもあった。そのゲームをプランニングしたのはSOで主将の伊藤君、この春は早稲田に進むという。

前半はバックスのミスで思いもよらぬ劣勢を強いられたがそれでも桐蔭は余裕で試合展開を変え跳ね返したように思える。昨年は大阪桐蔭の前に涙した桐蔭学園が果たした今日の日本一に相当のレベルアップを感じた。



2020年1月7日 第99回全国高校ラグビー 決勝(於 花園ラグビー場)
桐蔭学園23−14御所実(9年ぶり2度目)

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