ラッセルのパラドックスについて書く、と大見えを切ったのだがなかなか手に負えない。もう少し足慣らしをしていこうと思う。
一般に自己言及というものがパラドックスの原因となることはよく知られている。その典型的な例が「ベリーのパラドックス」である。かの有名なゲーデルの不完全性定理もベリーのパラドックスに似たパラドックスを利用している。
どういうものかというと、「19字以下では表現できない最小の自然数」というのがその代表的な例である。
とりあえず、19字で表現できる最大の自然数というものを試しに考えてみよう。日本語の数の最も大きな単位は「無料大数」だから、こういうのはどうだろう。ちなみに、無量大数=10の68乗(88乗という説もある)、極=10の48乗である。
『無量大数の無量大数乗の無量大数乗の極乗』
きちんと考えれば、もっと大きな数が表現できるかもしれないけれど、とりあえずこれを19字で表現できる最大の自然数としておこう。
だとすると、「19字以下では表現できない最小の自然数」は「19字で表現できる最大の自然数」に1を加えたものと考えられる。したがって、
「19字以下では表現できない最小の自然数」=無量大数の無量大数乗の無量大数乗の極乗+1 ということになる。
既に、自己言及が発生していることにお気づきだろうか。
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