旅の歌、東歌、挽歌、女歌という多様な切り口から万葉集を読んでいく。
感情を率直に歌い上げる恋の歌が多い印象を受けた。通い婚が普通だった万葉の時代、月が小さい時期や雨の降る日は逢えないといった慣習·禁忌があり、逢いたいという気持ちの切実さが伝わってくる。
挽歌でさえも、死んだ人に「あなたを愛している」というだけの違いであって、相聞歌と基本的に通底しているという指摘も新鮮だった。
本書を読み終えてふと、ZARDの好きな曲「My Baby Grand〜ぬくもりが欲しくて〜」の歌詞を思い出した。万葉に生きた人たちも、現代に生きる人たちも、遥か未来の人たちも、ひとを恋うる想いはきっと変わらないのだろう。
「ぬくもりが欲しくて 人混み歩いた ブルーなときは そばにいて 今ならもっと素直になれる 街中がやさしい ···声が聴きたくても 笑っていても 逢えないもどかしさ 宇宙の底に 二人生きてる」
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