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2019年08月02日09:45

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ピカソとの日々

フランソワ・ジローとカールトン・レイク共著の「ピカソとの日々」を一週間かけてやっと読み終えた。最近は視力が落ちて、読書のスピードがめっきり遅くなってしまった。

梟雄というのはピカソのような人を言うのではないだろうか。その才能が世間に認められていなければ、この人は犯罪者になっていたような気がする。何人もの女性と関係をもつが、おそらく彼は女性を愛したことなどない。彼と関係をもった女性はフランソワを除いていずれも哀れな末路をたどっている。彼にとって、女性は愛するのではなく征服する対象だった。そして女性に限らず、彼が他人と関係をもつということは、その人を支配するということと同義だったのだろう。彼と対等な人間は彼の周りには誰もいない。友人と言えるのはアンリ・マティスぐらいだが、「私は人々を癒す肘掛け椅子のような絵を描きたい」というような心根の優しい人間だからピカソの友人がつとまったのだろう。

ピカソの言葉は、芸術のこと以外に関してはほとんどが自分を合理化するための屁理屈であることが、フランソワの述懐からうかがえる。しかし、不可解なのは、これほど聡明に語るフランソワーズがどうして十年間も彼と一緒に暮らせることができたのだろうということである。彼の芸術をそれほど崇拝していたということなのだろうか。もしかしたら、私が女性を分かっていないだけかもしれない。




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