mixiユーザー(id:64140848)

2019年06月14日11:41

81 view

悪魔と裏切者 − ルソーとヒューム

ルソーが悪魔でヒュームが裏切り者ということなのだろうか。
客観的に見れば、どう考えてもルソーが一方的に悪いような気がする。この本を読んでいるうちにルソーに対して同情的な感情を抱き、ヒュームを陰湿な建前主義者であると感じる読者も少なくないらしいが、ヒューム信者の私としては、ルソーが単純に言いがかりをつけているような印象しかない。

思うに、ルソーという人は対等な人間関係の中で友情というものを育むことができないタイプの人間なのだろう。幼少期の過酷な生育環境と有り余る才能とが、過剰なプライドと猜疑心に満ちた性格を作り上げたのだと思う。一方、ヒュームの方はイギリスの上流家庭に生まれ、何不自由のない環境の中で育った円満な性格の紳士である。

フランスを追われたルソーをイギリスに招き、そこでの生活が成り立つよう奔走したヒュームに対し、ルソーはいきなり絶縁状を叩きつける。ヒュームにすればなにがどうなっているかのか全然わからなかっただろう。ルソーにしてみれば、ヒュームがまるで自分の保護者のように振舞っているように見えるのが、プライドの高い彼には我慢がならなかったのだろう。イギリス王国からの100ポンドの年金についても、ヒュームの尽力によるものではなく、自分ほどの人間ならば当然与えられるべきものとして受け取りたかったのだと想像する。

ルソーという人はどう見ても性格が破たんしているようにしか見えないが、今ではフランス革命の父としてその功績を認められている。知識人の思想と人格は別物という好例だと思う。
3 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する