今使っているパソコンが時々あやしい状態になり始め、こやつは先代より短命かも知れぬと思って、中に入っているファイルで要バックアップのものがないかどうか点検している。それで、さかのぼって過去のファイル群を見ているのだが、ああそうだ、こんなことを書いたことがあったのだった、と思った拙文があった。
［以下引用］
「短歌人」への提案
『小中英之全歌集』（砂子屋書房）の制作のお手伝いをした折りに、１９８０年代後半頃の「短歌人」誌のコピーを見る機会があった。現在は存在しない連載がいくつかあったようだ。
中でも、「フロンティア」という欄に注目した。四人の座談会の形式で、前々号掲載の作品から何首かをセレクトして、かなり密度濃く批評を加えている。「短歌研究」誌に連載されている鼎談形式の作品評のようなスタイルだ。できたらこの「フロンティア」のような欄を復活してほしいと思う。
ついでに、というわけではないのだが、もう一点、思っていることを記しておきたい。「短歌人」は会員・同人のすべての欄において選があり、真の意味での連作の修練をする機会が少ないと思う。これをもって連作とする、というつもりで出した歌稿のすべての歌が誌上に掲載されるのは、短歌人賞と�眄ゾ泙亮�賞作のみ、なのではないだろうか。もちろん、レギュラーの欄に選があるのは有意義なことであり、それはそのままでいいと思うのだが、「卓上噴水」「２０代・３０代会員競詠」などについては、従来通りの「選あり」か、または誌上に掲載される歌の数に絞ってきっちりと連作として歌稿を出す「選なし」か、どちらかを選べるようにしてもよいのではないだろうか。
また、短歌人賞と�眄ゾ泙硫尊遒虜酩覆砲弔い討癲⊂興亰悩椶任呂覆�、連作をそのまま掲載することはできないだろうか。藤原龍一郎さんはかつて谷村はるかさんの連作が短歌研究新人賞の候補作となった時に、候補作も３０首すべてを誌上に載せてほしい旨ブログに書かれていたが（「夢みる頃を過ぎても」２００６．８．２２）、短歌人賞と�眄ゾ泙亡悗靴討發爾劼修里笋衒�を採用していただきたいと思う。
［引用終り］
これは、「短歌人」２０１１年１１月号の「スピーチタイム」欄掲載の拙文である。７年前にこんなことを書いていたのだった。何かもうはるか昔のことのような気がする。
上記拙文の１点目については、どなただったか、「フロンティア」のような欄の復活は現状では難しい、と言われたことがあった。２点目については、「卓上噴水」「２０代・３０代会員競詠」はよくわからないのだが、昨年まで掲載されていた「扉」の題詠欄や、先日拙詠を載せていただいた「秋のプロムナード」では、「選あり」「選なし」を選べるようになっていた。３点目についても、その後、佳作作品も一連すべてが掲載されるようになった。
「マイナスの領収書」（10月25日）のコメント欄にて、とうこさんとのやりとりで記したが、先日、短歌人東京歌会について提案をしたのだった。こんなことを言ってみたのは初めて、と思っていたのだが、７年前の拙文も、特にどなた宛にという書簡のような体裁ではないが、編集委員会の皆さま宛に書いたようなかたちになっている。そこで書いたことのうちいくつかは実現したのだった。もちろん、この拙文のみならず、同様の意見が他の方々からも多々寄せられてのことだろう。
思うところがあれば遠慮なく発言して、そのすべてがすぐに実現するわけではないにしても、少しずつ良い方向へ変わってゆくことができればいいと思う。
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